那覇商vs与勝

見事打ち気をそらした又吉が完封でベスト16へ

＜第105回全国高校野球選手権沖縄大会：那覇商2－0与勝＞◇1日◇2回戦◇コザしんきんスタジアム

　速い球こそないが、変化球と緩急を上手く使った那覇商の左腕、又吉 一颯投手（3年）。初戦で好投手、豊見城南の山城大来投手（3年）を打ち崩した与勝打線の、特に上位打線に何もさせずに、僅か3安打で完封勝利を収め、ベスト16へ進出した。

両先発投手の見応えある投げ合い

　序盤の4回を終えて那覇商・又吉は、2回に味方のエラーでの出塁と3回の1安打のみ。対する与勝の右腕、仲松 帝投手も、4回の味方のエラーのみと、両先発投手が見応えのあるピッチングを披露した。又吉が低めを上手く使うと、仲松もスローボールで対応。しかもこれが制球良くストライクになるため、那覇商打線も苦しめられた。そんな均衡が崩れたのは5回だった。

　那覇商は5回、内野安打と野選で1死一、二塁。ここで与勝捕手の仲村 春佑捕手が二塁へ送球するも逸れてしまい二、三塁となる。すると8番・又吉が自らを助ける左前への適時打で那覇商が先制した。なおも1死一、三塁だったが、ランナーのリードを見極めさた仲村が、三塁へ送球。挟殺プレーで三走をアウトにし、与勝バッテリーが最小限で食い止めた。

　早く追い付きたい与勝は6回、2つの四球を見極めて一、二塁と、このゲーム2度目の得点圏へ走者を進めたが、那覇商・又吉の前にどうしてもあと1本が出ない。

　すると那覇商は7回、5番・池原 常煌捕手がセンターを襲う三塁打。ガッツポーズでベンチを鼓舞するが、与勝バッテリーも見事な粘りを見せる。その後は浅い中飛に空振り三振と、三塁走者を1歩も進めないナイスピッチング。ここで点が入れば与勝の緊張の糸が切れる。逆に無死三塁で得点を見逃せば、流れは与勝へ。そんな場面だったが、打席の又吉が見事に右前へ運び三走が生還した。

　勝負強さを存分に発揮した又吉は、ピッチングにも拍車がかかる。安打は許すも最後まで三塁を踏ませず完封勝利を挙げた。

　打って投げての大活躍を見せた又吉が、チームをベスト16へ牽引した。

（記事：當山 雅通）