試合レポート

上尾vs山村学園

2023.04.29

上尾が守り勝ち!2年生エース飯島が山村学園相手に完投勝利!

上尾vs山村学園 | 高校野球ドットコム
勝利を喜ぶ上尾ナイン

<春季高校野球埼玉県大会:上尾2ー1山村学園>◇28日◇3回戦◇上尾市民

 「何より今日はバックの先輩方が守ってくれました」と、飯島 恒太投手(2年)も先輩に賛辞を送ったこの試合、とにかくこの日の上尾は強打の山村学園打線を相手にエース飯島を中心としよく守った。

 やや暑い1日となった[stadium]上尾市民球場[/stadium]の第1試合は、2年生左腕・飯島を擁する上尾vs関東大会ベスト8のシード校・山村学園との一戦である。

 まずはスタメン。前の試合から変更点だが、上尾は前回取材した深谷商戦から捕手が芳賀 亮太(3年)から屋代 剛志捕手(2年)に変更した。「もちろん、キャッチャーは肩の部分もあるが、キャッチングがうまい芳賀がファーストに入ると内野が安定する」(高野監督)ということで芳賀は一塁手に、8番・二塁に正木 天智内野手(3年)が入り、9番・三塁に甲斐 渉也内野手(3年)が入る。一方の山村学園は、田中 大貴外野手(2年)が3番に入り、前の試合3番の1年生・横田 蒼和内野手は「やや疲れが見えるし、相手が左なので気楽に」(岡野監督)ということで7番に入る。左投手キラーの横手 勇人内野手(3年)が4番に入り、6番には橋本 大外野手(3年)が入る。

 先発は上尾がエース左腕・飯島、一方の山村学園は前の試合同様に右スリークウォーターの川窪 晴貴投手(3年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは上尾。初回、山村学園・川窪の立ち上がりを攻め、先頭の岡安 陽向外野手(3年)が四球で出塁すると、続く加藤 遥斗内野手(3年)とのところで上尾ベンチはエンドランを仕掛ける。加藤は期待に応えたたききつけるとこれが遊撃手への内野安打となり無死一、二塁とする。さらに3番・香川 温大外野手(3年)がきっちりと送り1死二、三塁とチャンスを広げると、続く駿河 咲希也外野手(3年)の内野ゴロで幸先良く1点を先制する。

 上尾は4回表にも、3回から登板した山村学園の2番手・左腕の中嶋 瑞樹投手(2年)に対し、1死から5番・屋代が死球で出塁すると、続く飯島が中前安打を放ち1死一、二塁とする。さらに7番・芳賀の内野ゴロで2死一、三塁とチャンスを広げると、続く正木がセーフティーバントを決め貴重な2点目を奪う。

 投げては上尾のエース飯島が、テンポ、制球ともに良く直球を投げ込み、今大会を通じ課題に挙げていたスライダーなども交え、強打の山村学園打線を翻弄する。

 だが、上尾・飯島は初回から飛ばしたこともあり、やや疲れの見え始めた最終回、山村学園が猛反撃を見せる。

 山村学園は最終回、1死から3番・田中が左前安打を放ち出塁すると、続く横手も左前安打を放ち1死一、二塁とする。ここで5番・藤原 将輝捕手(2年)が左前適時打を放ち1点差とし、なお、1死一、三塁と絶好の同点機を迎える。打席には途中出場の三上 颯太外野手(3年)。三上は昨秋のレギュラー選手だけに期待が集まる。ここで山村学園ベンチはセーフティースクイズを選択するが、打球は投手前に転がり三走・田中は自重し失敗に終わる。結局、後続も倒れ万事休す。

 結局、上尾山村学園を接戦の末、2対1で制し、ベスト8進出を決めた。

 山村学園は、この日フライアウトが多く積極的にという指示も出ていたのかもしれないが、4回から8回まで5イニング連続10球以内とやや淡白な攻撃に終始した。これには岡野監督も
「(上尾とは)練習試合でも1点差で互角。力不足。やりたいことができなかった。飯島くんに対してはゾーン上げて、低いゴロを打てと言っていたんですがフライばかり。気持ちの部分。緊張した場面で力を発揮するために練習をしてきたんですが、もう1回たたき直さないと」と渋い顔。夏までに打線に関してはいま1度、指示を徹底できるかが鍵だ。投手陣は2失点であり責められない。最終回には西川を登板させることができ、1イニングながら2奪三振と好投。だが、「西川はまだまだ。球は良いんですが、心の治療中です」と、岡野監督は彼の現状を表現した。彼や右アンダーハンド・鹿島の存在なくしてマシンガン継投は完成しない。2年生ではなるが主戦としての責任を持ち、夏までに万全の状態で戻ってくることに期待したい。

 一方の上尾はエース飯島の好投はもちろん、とにかく内外野共にファインプレーを連発し良く守った。高野監督は「練習試合は1勝1敗、共に1点差でしたが、山村さんの選手一人一人の質やどういう状況でも全力疾走をしてくるところなどを含め色々学ばせてもらった。飯島は落ち着いて投げていた。いつもより丁寧に投げられた。彼は状況を見て投げられる」と、エースの好投を手放しで褒めた。

 飯島本人は「最近ではベストピッチ。今日は最初から飛ばした。前の星野戦で直球を思い切り投げろと言われてから、直球を強く投げることを心がけていて直球やスライダーの精度も含め以前より状態は上がっている」と、自らの状態を語る。

 打線は相手より少ない5安打ながらも、要所で仕掛ける小技がこの日の試合を左右した。飯島はこの日そこまで直球の出来が良かったわけではないが、持ち味である制球力とスライダーの出来、完成度が大会で登板するごとに上がっている。やや登板過多なのが気になるが、次の相手に対しても準備はできているそう。上尾が今大会どこまで勝ち上がるのか注視していきたい。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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