大宮東vs狭山ヶ丘
大宮東・冨士、3安打11奪三振完封で狭山ヶ丘・加藤に投げ勝つ!

冨士 大和(大宮東)
<春季高校野球埼玉県大会:大宮東5ー0狭山ヶ丘>◇23日◇1回戦◇UD上尾スタジアム
爽やかな春らしい天気の中、行われた[stadium]上尾市民球場[/stadium]の第1試合は最速139キロ本格派2年生左腕・冨士 大和を擁する大宮東対同じく最速143キロの本格派長身右腕・加藤 健太(3年)を擁する狭山ヶ丘という好カードとなった。
まずはスタメン、大宮東は昨秋4番を打っていた白田 友希(3年)が1番に座り、4番には恩田 愛斗(3年)が入る。秋1番の内浦 康平(3年)が2番に入り、秋2番の松本 健慎(3年)が6番に入る。秋6番の川合 海人(3年)が7番に入り、秋5番の桑野 倖成(3年)が3番に、秋3番の渡邉 健翔(3年)が8番に入る。
先発は予想通り、大宮東が2年生左腕・冨士、一方の狭山ヶ丘は加藤と両エースが登板し試合が始まる。
試合は前評判通りの投手戦となる。
初回は両校共にチャンスを作る。
狭山ヶ丘は1回、大宮東・冨士の立ち上がりを攻め、1死から2番・中本 晃太郎(3年)が左前安打を放つと左翼手がジャッグルする間に一気に二塁へと進む。2死後、4番・加藤も左前安打を放ち2死一、三塁とチャンスを広げるが後続が倒れ無得点に終わる。
大宮東もその裏、狭山ヶ丘・加藤の立ち上がりを攻め、1死から2番・内浦が左前安打を放ち出塁すると、すぐさま二盗を決める。2死後、4番・恩田が左前適時打を放ち大宮東が幸先良く1点を先制する。
2回以降立ち直った両投手。特に大宮東・冨士は「今日の冨士は70点くらい。チェンジアップが浮いていたので、それを見せ球にし真っ直ぐとスライダーで打者の形を崩した」(川合)と、川合の好リードもあり別人のようになり2、3回を三者凡退に抑える。一方の狭山ヶ丘・加藤は2回2死一、三塁、3回2死一、二塁、4回2死二塁と、2回以降も毎回のようにピンチこそ招くが、要所を抑えると尻上がりに調子を上げていく。
やや押され気味の狭山ヶ丘は4回、この回先頭の伊藤 廉斗(3年)が中越えの二塁打を放ち出塁するが、続く加藤のところでバントかという状況で二走・伊藤が誘い出され挟殺されてしまい後続も倒れ無得点に終わる。
その後も1対0のまま投手戦が続く。
試合が再び動き始めたのは7回であった。
大宮東は先頭の白田が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く内浦の二ゴロが相手エラーを呼び無死一、三塁と絶好の追加点を奪うチャンスを迎える。1死後、4番・恩田が左中間へ適時二塁打を放ちまず2点、さらに2死後、6番・松本も右前安打を放ち2死一、三塁とする。ここで7番・川合が左中間へ2点適時二塁打を放つなど、この回一挙4点を奪い5対0とし試合の大勢は決した。
投げては、大宮東・冨士がその後も狭山ヶ丘打線を寄せ付けず5回以降パーフェクトに抑えるなど、狭山ヶ丘・加藤に投げ勝って見せる。
まずは狭山ヶ丘だが、「加藤は良く投げていたが大事なところでのエラーやミス。アウトコースの見極めの指示は出したんですが、打線は狙い球を絞りきれなかった。初回と4回取れるところで取らないと」(平澤監督)と、悔しさを滲ませた。
「インコース直球と外のスライダーの投げ分けはできていたが、現状クイックでボールが弱くなるので、変化球の投げミスも含め夏までにレベルアップを図りたい」(加藤)
一昨年春から登板経験のあるエース加藤を中心としたこの代が最終学年を迎え、本来勝負の年であろう。だが、今大会は早期敗退となった。最後の夏に期するものがあるはず。下位打線の強化がポイントとなる。こんなものではないはずだ。
一方の大宮東だが、この日は冨士に尽きるであろう。2年生ながら、狭山ヶ丘の好投手加藤に投げ勝ち、立ち上がりこそやや不安定な内容ながら、終わってみれば結局被安打3、四死球1、11奪三振完封勝利を飾るなど、完璧な内容であった。それでも冨士は「秋以降、下半身を使ったフォームを意識してスピードが上がり制球力も良くなった。今日は変化球が浮いていたので修正したい」と話した。
打線も結局、恩田や白田などの活躍もあり12安打を放つ。上位シードを狙う大宮東がまずは初戦を突破した。だが、次も試合巧者・浦和実が相手であり侮れない。一戦一戦といったところであろう。
(取材=南 英博)