試合レポート

都立文京vs都立東大和

2023.03.12

攻守に力強さを示した都立文京が、都立東大和にコールド勝ち

都立文京vs都立東大和 | 高校野球ドットコム
5回に2点タイムリー三塁打を放った文京・須藤

<春季都大会1次予選:都立文京11-3都立東大和(7回コールド勝ち)>◇12日◇1回戦◇あきる野市民球場

 都立で、ある程度実績のある学校同士の対決ということで興味深いカードでもあった。

 都立東大和は、かつては夏の西東京大会で2度、決勝進出を果たして「都立の星」と言われたこともある。そんな歴史と伝統も背負っているが、このところはやや部員も集まりにくくなっているという現実は否めない。今大会1次予選は、ぎりぎりの人数で戦わざるを得ない。

 都立文京は、JR山手線大塚駅から徒歩数分というところにある都心の学校だが、限られた条件の中でもしっかりと練習を重ねてきているということでも定評はある。

 昨秋は、都立東大和は初戦では日大一を下したものの、代表決定戦では都立篠崎に屈した。都立文京は、明法に競り負けて、悔しい思いでこの冬を過ごしてきた。

 試合は、初回から激しく点を取りあう展開となった。都立東大和都立文京の峰尾投手の立ち上がりを攻めて、先頭の岩崎がいきなり中前打すると、四球とバントで1死二、三塁とする。4番昼神の内野ゴロの間に三塁走者がかえって先制。なおも2死三塁となって、5番久保の中前打で2点目が入った。

 しかし、都立文京打線もすぐに取り返す。失策と3番須藤の左前打で1死一、二塁として、城が三遊間を破って二塁走者がかえって1点差。さらに、2死二、三塁となった場面で6番安井がしぶとく三遊間を破って2人がかえって逆転した。都立東大和の昼神投手は、やや球が集まりすぎたところがあったかもしれないが、そこを都立文京打線もしっかりと捉えていた。

 都立文京は2回にも1死から9番徳山が右前打で出ると、すかさず二盗して、その後は2つの暴投でホームイン。さらに、四球と2つの相手失策が重なり5点目が入って、なおも1死三塁で3番須藤がきっちりと中犠飛を放って6点目。相手のちょっとしたミスにつけ込むなど、都立文京のソツのなさが光った攻撃だった。また、ベンチとスタンドも一体となって、大いに盛り上がった総攻撃だった。

 都立東大和の三國力監督は3回から、一塁手と投手を入れ替えて、何とかしのいでいこうとした。

 しかし、都立文京は4回には、安田投手から四死球と杉田の安打などで1死満塁として峰尾の右犠飛でさらに1点を追加した。

 もうこれ以上離されたくない都立東大和は、1番からの好打順の5回に先頭の岩崎の安打から、犠打失策などでチャンスを作り、内野ゴロで1点を返して差を詰めた。

 ところがその裏、都立文京も1番からで、先頭の尾上が右中間二塁打すると、黒澤も続き、3番須藤が右中間に強烈な三塁打を放って2人がかえる。さらに、暴投で生還してこの回3点を追加して、都立文京はリードを広げた。6回にも四球でチャンスを広げて暴投で追加点を奪った都立文京。そのままコールドゲームで逃げ切った。

 梨本浩司監督は、「このチームは、ある程度は力があるとは思っているんですよ。去年の秋、どうして勝てなかったのかなと思うくらいなんですが…(苦笑い)。投手と、1番、3番は経験値もあるし、ある程度勝ち上がっていったことも経験していますから、普通にやればそこそこは行けるはずなんですよね」と、このチームに関しての好感触は得ている様子だ。それだけに、この春はどうしても本大会に進出をしたいところであろう。

 それに、都立東大和もそうだけれども、都立の各校が部員確保で苦しんでいる中で、現在は2学年で40人おり、新入生も20人前後入ってきそうな感じだという。「今の時代に、それだけの生徒が入ってきてくれて、恵まれている方だと思います。それだけに、しっかりとしたチームにしていかないといけませんね」と梨本監督は、自身の意識も引き締めていた。

 初回いい形で先制しながらも、結果的には力の差というか、層の差も見せつけられた形の都立東大和。三國監督は、「とにかく、人数がいないというのは、どうしようもないですよ。練習にしてもそうですけれども、何もできないですからね。それに会場校としても、運営にも関わらなくてはいけませんから」と、少人数になって苦しい状況であっても、会場校としての伝統も維持していこうという意欲を示している。それでも、「今度の新入生は10人前後は入ってきてくれそうなんですよ。去年秋からここまでは本当に苦しかったけれども、ここを乗り切れば何とかなるのかなと思って、期待しているんですけれどもね。夏までには、巻き返していきますよ」と、先を見据えていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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