試合レポート

大学準硬式・全関東選抜vs全東海選抜

2022.11.21

興南出身の1年生剛腕が力投 東東京の無名校出身スラッガーの一打で全関東選抜で3連覇達成

大学準硬式・全関東選抜vs全東海選抜 | 高校野球ドットコム
全関東選抜・松本 夕輝

<第40回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会:全関東選抜8-4全東海選抜>◇20日◇決勝◇県営春日

 全日本大会、清瀬杯と並んで大学準硬式界にとって3大大会の1つともいえる全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会。各地区のオールスターチームを編成して、その年の地区最強を決める大会で、全国各地の猛者たちが集まり、例年レベルが高い。そのなかで、全関東選抜が、3連覇を達成し、18度目の頂点をつかんだ。

 2021年大会に続いて、全関東選抜の主将を任された幸喜 健太朗内野手(4年=中央大)も「今年は投打のバランスが良く、チーム力が高い」と総評するように、決勝戦では投打で全東海選抜を圧倒した。

 先発した田中 駿佑投手(2年=中央大)は4失点と試合は作れなかったが、2番手・伏見 颯真投手(4年=法政大)からリズムを戻すと、勝ち越しに成功した5回以降は盤石だった。

 なかでも3番手・大山 北斗投手(1年=中央大)は会場を沸かせた。直球は140キロ中盤を計測するなど快速球を連発。投げ終わりで飛び跳ねるような躍動感あふれるピッチングで、全東海選抜打線の勢いを止め、さらに味方打線に勢いを与えた。沖縄の名門・興南で腕を磨いてきた逸材の実力は伊達ではなかった。

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全関東選抜・大山 北斗

 打線では、主将で1番打者・幸喜、2番・古屋 一輝外野手(4年=法政大)、3番・小栁 翼外野手(3年=中央大)が初回に見事な速攻劇を見せた。「三振をしたくない」と広角に打ち分ける幸喜に、シャープなスイングで鋭い打球を飛ばす古屋に、ややアッパー気味に捉える3番・小栁と、三者三様の役割をきっちり果たしていた。

 さらに途中出場を果たした松本 夕輝外野手(4年=専修大)が勝ち越しのホームランを放つなど総合力が高かった。

 松本は多摩大目黒出身で、東東京では2、3回戦が精いっぱいのチーム。無名校だったが、当時、同世代が甲子園で躍動する姿に刺激を受けて、「(大学では)一緒に試合に出て活躍したい」と大学準硬式を選んだ。

 高校時代は通算4本塁打だったが、大学では8本塁打。学生生活最後の試合となったこの試合では、「ポイントを前にコンパクトに振ろう」と心に決めて代打で登場し、逆転のホームランをマーク。3連覇となる優勝に貢献した。

 多摩大目黒時代は全国とは無縁だった松本も「全国大会にも出られたので、大学準硬式でよかった」と4年間の大学野球を振り返った。

 名門校で腕を鳴らした選手、そして無名校から花を咲かせた選手。様々な選手たちが力を結集して優勝した全関東選抜。大学準硬式が掲げる「ダイバーシティ」と「インクルージョン」を体現する結果だったともいえるだろう。


東邦出身の147キロの剛腕、県立岐阜商の逸材など 大学準硬式には原石が多数

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全東海選抜・道﨑 亮太

<第40回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会:全関東選抜8-4全東海選抜>◇20日◇決勝◇県営春日

 全関東選抜の3連覇で幕を下ろした第40回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会。準優勝に終わった全東海選抜だが、準決勝の全九州選抜戦では2点差で迎えた9回に追いつき、タイブレークに入った10回で勝ちこして勝利。勢いに乗ったら止められない逆転の東海が大会を盛り上げた。

 その勢いを支えたのは、投手陣の頑張りだろう。

 2日間で最大4試合のタフなスケジュールを勝ち抜くには、投手陣のやりくりは避けては通れない。全東海選抜は今大会10人の投手がマウンドに上がったが、目に留まったのは3投手。

 1人目は唯一、3試合登板した道﨑 亮太投手(3年=中京大)。最速147キロで、13日に開催予定だった甲子園大会にも選出された。左腕を上手く使って反動をつけた縦回転のフォームから、コンスタントに140キロを超える。130キロ台のスプリットも切れ味が鋭く、大学準硬式の域を超えつつある。東邦(愛知)で鍛えた剛腕は伊達ではなく、卒業後は上のステージでの継続を宣言しているが、今回の試合中継で大いにアピールに成功した。

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全東海選抜・松下 未来

 2人目は道﨑と同じ中京大の一ノ瀬 順輝投手(3年)。直球は130キロ中盤だが、伸びがある。スライダーの切れ味も良く、コーナーに投げ分けられている。技巧派サイドハンドで対戦した全関東選抜の打者も、的が絞りにくかったという。落ち着いて試合を見ていられる投手だった。

 最後は松下 未来投手(2年=名古屋商科大)。県立岐阜商(岐阜)で高校時代を過ごした投手で、決勝では145キロを計測することもあった。テークバックはコンパクトで、出どころが見えにくい。リリースも強く、スピンのきいた直球を投げ込み、見た目以上に走っている印象だった。

 野手陣も、ホームランを放った濱本 淳平内野手(3年=愛知大)、石崎 伶外野手(1年=中京大)がパワフルなスイングを見せるなど、打線には力があった。試合には敗れたものの、大学準硬式の競技レベルの向上に期待せずにいられない。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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