明大中野八王子vs拓大一
先制パンチが効いて明大中野八王子、5回で拓大一を退ける
初回に先制タイムリー打を放った、明大中野八王子・猿渡君
<秋季高校野球東京都大会:明大中野八王子14-2拓大一>◇10日◇1回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
夏は準優勝した東海大菅生に大敗してしまった明大中野八王子。秋の新チームは1次ブロック予選では正則学園、都立石神井に快勝して本大会進出した。1994年春には甲子園出場実績もある拓大一も都立五商、都立松が谷に快勝しての進出である。
朝には止んでいた雨が、しとしとと降り出してきていた中で始まったこの試合。少しグラウンドコンディションが悪くなりかかり、球も滑るかなというところでもあった。それでも、試合は中断するまでには至らず、試合そのものも明大中野八王子が初回から思い切りのいいスイングが功を奏して、ドカンドカンと得点していき、早い段階で決着をつけたという結果になった。
明大中野八王子は初回、四球と3番・西川 幸史朗外野手(2年)の左越え二塁打などで2死二、三塁として、この日は5番に起用された背番号18の猿渡 陽太外野手(2年)がシャープなスイングで三遊間を破り2者をかえして先制。さらに6番・大嶋 遼投手(2年)が繋いで、有川 駿佑捕手(2年)の投手強襲安打で、もう1点を追加して、いきなり3対0と明大中野八王子が主導権を握っていく。
2回にも、明大中野八王子は2番・篠﨑 惠友外野手(2年)の中越え二塁打など打者一巡の猛攻で、4点を追加した。
さらに3回には、2死走者なしから拓大一の投手が大崩れして、6連続四死球とボーク、暴投も絡んで、この回は1安打ながら打者10人の攻撃で6点が入って、勝負を決定的とした。4回にも1番・小薗 卓也内野手(1年)の左中間三塁打と暴投でもう1点を追加している。
明大中野八王子の椙原 貴文監督は、「そんなに打てるチームではないんですけれどもね、たまたまいいところで1本が出たという感じでしょうか。積極的に振っていこうということは言っていたので、最初からそれができたことがよかったんだと思います」と、選手たちの積極性を評価していた。
先制打を放ち、この日は4打点と活躍した猿渡は、「初回の打席は、長打はいらないと思い、単打で言いから思い切り振っていったのがよかった」と振り返った。ケガが多くて、なかなか自分で思い描いていたような形にならなかった中で、起用されたことでそれに応えていく姿勢を示したことはよかった。椙原監督も、「多分、一番厳しくいろんなことを言っていると思いますけれども、それだけ、期待も大きいんだということを分かって欲しい」という気持ちだという。
大嶋は、3回に2点を失ったものの5イニングを投げてその回の3連打のみで、他は全く危なげのない内容だった。
ほとんどいいところを見せられなかった拓大一だったが、3回は2死走者なしから2番・成井 優翔外野手(2年)以下、柴田 盛那内野手(2年)、齋藤 大輝外野手(2年)と3連打で2点を返した。この回のこの攻撃は、思い切りもよく、各打者もスイングも鋭かった。投手陣がもう少し整備されれば、春にはもっと期待できそうな感じではあった。そのことは松井 貴寛監督も十分に承知で、「投手力がよくないということが明白になってしまいました。先発の小沼は、相手が気持ちよく振ってくるので、それにビックリして厳しいコースを突いていこうとして制球を乱してしまいました。そこに、守りのミスが重なってしまってはいけませんね。この冬で鍛え直します」と、再出発へ向けての反省しきりだった。
(記事=手束 仁)