試合レポート

徳之島vs明桜館・串木野・川薩清修館

2022.10.02

チーム一丸で劣勢覆す・徳之島

徳之島vs明桜館・串木野・川薩清修館 | 高校野球ドットコム
徳之島5点目

<第151回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:徳之島5-2明桜館・串木野・川薩清修館>◇2日◇3回戦◇平和リース

 徳之島大澤康誠(2年)、「明桜館串木野川薩清修館(以下連合②)」の松田元(2年)、両エースを中心にした守り合いで、7回表まで両者無得点と引き締まった好勝負となった。

 均衡が破れたのは7回裏。連合②は2死満塁から8番・迫亮摩(1年)の内野安打で1点、悪送球が重なって2点を先取した。

 鹿児島の連合チーム初の8強入りが見えたかと思われたが、徳之島が意地をみせる。

 直後の8回表、四球とエラーで2死ながら一、三塁とすると4番・嶋田翔仁(1年)が右越え三塁打を放って同点に追いついた。

 9回表は1番・幸大翔(1年)の右前適時打で勝ち越し、相手のエラーで計3点をダメ押した。その裏の連合②の攻撃を無失点で切り抜け、逆転勝利をものにした。

 後半まで続いた劣勢は「監督の力みが選手に伝わってしまった」と徳之島・地頭所眞人監督。それでも「チーム一丸で逆転勝ちできた」と15人の選手全員の健闘を称えた。

 勝てば5年半ぶりの8強入り、対戦相手は3月まで初任で4年間監督した串木野を含む合同チーム…。監督歴5年目、29歳青年監督の気負いが選手に伝わってしまったのか、7回までの徳之島は押し気味に試合を進めながらも、走塁ミスなどでことごとくものにできなかった。逆に相手にはこちらのミスが絡んでワンチャンスをものにされた。

 このまま負けてしまえば大きな反省と後悔の残る展開だったが「勝負どころを選手たちが分かっていた」(地頭所監督)。直後の8回表、2死ながら一、三塁と粘って好機を作る。「一走の加さんは足が速いから外野に飛ばせば何とかなると思った」。1年生4番・嶋田が振り抜いた打球は、風に流され、前進してきた右翼手の後ろに落ちる起死回生の同点三塁打となった。

 その裏、2死から連打を浴びたが、途中から左翼に回ったエース大澤がダイレクト返球で三塁タッチアウトのビッグプレーを披露。劣勢の空気を完全に覆し、その勢いが9回の3点勝ち越しにつながった。

 プレーする選手だけでなく「ベンチの選手たちも打席の選手を勇気づける声掛けを意識した」と正岡大暉主将(2年)。「ベンチの声のおかげで力まずリラックスして打てた」と殊勲の同点打を放った嶋田は感謝する。

 8強入りはチームの「短期目標」(正岡主将)。ひとまず達成できたが「ここに満足せず、4強、決勝と勝ち上がり、九州大会にいって、昨年の鹿児島大島のようにセンバツにいく」と嶋田はその先の「長期目標」への意欲を語っていた。

(取材=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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