Interview

捕手転向してわずか1年で高校生トップレベルの強打の捕手へ成長した浦和学院・高山、高卒プロを意識させたセンバツバックスクリーン弾

2022.10.16

捕手転向してわずか1年で高校生トップレベルの強打の捕手へ成長した浦和学院・高山、高卒プロを意識させたセンバツバックスクリーン弾 | 高校野球ドットコム
高山 維月(3年=浦和学院)

 今年の浦和学院(埼玉)を牽引した強打の捕手・高山 維月。高校通算33本塁打の長打力と、スローイングタイム1.8秒台の強肩を持ち味とする。今回はそんな高山の成長を振り返っていく。

 高山の存在を知ったのは、福岡志免ボーイズ時代のこと。中学担当の記者がこの選手を取材し、その記事を編集した時に興味を持った。さらに当時の動画を見て、どんな選手になるのかワクワクさせられた。高山は浦和学院に進むきっかけについてこう振り返る。

「中学校の時に九州から出て関東に行きたいと思っていて、今の監督の森大監督から声をかけていただいて入ることになりました」

 高校1年秋では外野手としてベンチ入り。シートノックでは外野から鋭い送球を見せていたことを覚えている。しかしレベルの高い高校野球でなかなか活躍ができず、悩む日々だった。そんな時、転機となったのが捕手コンバートだ。これまで捕手の経験はほぼゼロだった。

「キャッチャーは2年の春のメンバーに外れる際にバッティングキャッチャーをやっていて、そこから始めました。それまでキャッチャー経験はなかったです。配球面は前キャプテンの吉田 瑞樹さん(早大)に、試合中や試合後に教えてもらいました。全体的な捕手としてのスキルは、コーチでキャッチャー経験のある方がいたので、練習法から教えていただきました」

 1.8秒台も計測する抜群のスローイング。この点については、
「ジャイアンツの小林 誠司選手の足の使い方を参考にしました。ステップが良ければ上半身もついてくるので、小林選手の動画などを見て練習しました」

 徐々に頭角を現し、2年秋には正捕手として関東大会に出場。向上(神奈川)戦で左中間へ本塁打を放った。打撃面について、体の回転を使うことを意識している。そして冬場では懸命に振り込む姿があった。

 センバツではバックスクリーン弾を放ち、アピールに成功した。高山自身も驚きの1発だったという。
「冬の振込みで引っ張るというよりもセンターに強く打つ意識で取り組んできたので、あそこまで飛んだのかなと思います。センターの頭を越えるとは思いましたが、あそこまで飛ぶとは思いませんでした」

 この時から高卒プロを意識するようになった。
「春のセンバツを終えてから、森大監督からプロに挑戦してみないかと言われて意識しました。あそこまで飛ばせると自分でも思っていなかったので、すごく自信になりました」

 高卒プロを意識するようになってから1日の過ごし方も変わってきた。
「私生活の部分でも野球に繋がるというふうに監督はずっと言っていたので、私生活や野球でも一球一球にこだわるようになりました」

 自慢の長打力はレベルアップし、センバツを迎えるまで高校通算16本塁打だったが、3月から夏まで17本放ち、33本塁打まで到達した。一気にレベルアップしたかのように見えたが、高山自身、悔しい結果が多かったと振り返る。
「バッティングがまだ力不足で、チャンスで回ってきても一本出なかったり、悔しさはあります」

 夏の大会が終わると、後輩たちに交じって、懸命に練習を行う。現在の課題についてこう語る。

「体づくりからもう一度見直して、打撃より守備という課題もあるので、守備の部分でもストップや送球にもこだわって、打撃ももう一度磨き直していきたいです」

 ポテンシャルの高さは十分。プロの道は切り開かれるのか。いずれにしても、高い才能を発揮する技術を身に着け、活躍を果たしたい。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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