News

睡眠中に起こる体の変化

2022.10.07

睡眠中に起こる体の変化 | 高校野球ドットコム
日中に行った反復練習は、睡眠を経て体に「覚え込ませる」ことができる

 体を鍛えてパフォーマンスを向上させるためには、練習することだけではなく、食事や睡眠が大切であることは皆さんもご存じのことと思います。特に高校生は学校生活、部活動、遠方からの通学など、忙しい日々を過ごしていることが多く、ついつい就寝時間が遅くなって睡眠不足におちいりがちです。最近では睡眠時間だけではなく寝ている間の「睡眠の質」も問われるようになりました。睡眠はどうして大切なのか、改めて考えてみましょう。

●入眠後に起こるノンレム睡眠がポイント
 睡眠には大脳の活動が休息状態に入るノンレム睡眠(深い眠り)と体が休んでいるレム睡眠(浅い眠り)があります。個人差はありますが、入眠直後にノンレム睡眠が約90分続き、その後に短いレム睡眠、そしてノンレム睡眠と交互に繰り返し、翌朝までにそのサイクルを4~5回繰り返すと言われています。入眠直後に起こるノンレム睡眠ではさまざまな体の変化が見られます。

 まず一つ目は成長ホルモンが促されること。練習やトレーニングなどによって傷んだ筋肉は、その後修復される段階で適切な栄養と休養によって強く太い筋線維をつくり出します。その効果が大きくなる時期を「超回復」と呼びますが、これには睡眠中に分泌される成長ホルモンが大いに関係しています。成長ホルモンが分泌されると体の中ではタンパク質の合成が進み、傷んだ筋線維の修復と再生を促します。入眠直後のノンレム睡眠時に成長ホルモンが多く分泌されることがわかっています。

 そして日中の記憶を整理し、定着させることも活発に行われます。ノンレム睡眠は「脳が休息し、体が起きている状態」ですが、この時間帯に繰り返し練習したフォームや、体が覚えているものを体系立てて整理し、「体に覚え込ませる」ことを行っていると言われています。一方で脳が活動しているレム睡眠中には記憶の整理を行い、事実と感情を切り離す役割を担っています。たとえば試合に負けてしまったという事実と、負けて悔しい気持ちを切り離すため、文字どおり「嫌なことは寝て忘れる」ことにつながります。

●試合後の夜は寝つきにくい?
 試合後の体は疲れているにも関わらず、なかなか寝つけない…といった話をよく聞きます。これは試合のプレッシャーや緊張、興奮状態などが続くために就寝時間が近づいても自律神経の一つである交感神経が優位に働いてしまうためです。交感神経をおさえて、リラックスモードとなる副交感神経を働かせるためには、普段よりもぬるめのお湯で入浴する方法があります。暑い時期であれば水風呂など水温を下げて体を冷やすことも効果的です。また頭を直接冷やす水枕や氷枕などを使ってみるのも良いでしょう。部屋では好きな音楽や香りなどを楽しむようにすると、心身のリラックスにつながります。

 睡眠には疲労回復を促すだけではなく、体の修復や脳のリフレッシュ、記憶の強化、感情の整理など、野球が上手くなるためにも必要不可欠なものです。こうした睡眠中の体の変化を理解し、睡眠を優先させるような生活習慣を心がけてみてくださいね。

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?