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アドレナリンとパフォーマンス

2022.09.27

アドレナリンとパフォーマンス | 高校野球ドットコム
アドレナリンの分泌は時にファインプレーをもたらすことも

 私たちの体は二つの自律神経によって「活動モード」と「リラックスモード」を切り替えています。野球の場面においても「これから試合が始まる」という場面では活動モードである交感神経が優位に働きます。練習後や帰宅後、そして就寝前にはリラックスモードである副交感神経が働き、心身のリラックスを促します。この二つの自律神経は自分自身でもある程度コントロール出来ることが知られており、心拍数が上がるようにダッシュを繰り返す、その場でジャンプする、呼吸を早めるといったことで交感神経を刺激し、活動モードへとシフトすることが可能です。

 交感神経が刺激されたときに分泌されるものの一つとして、神経伝達物質であるアドレナリンというホルモンがあります。皆さんは試合中にはあまり痛みを感じなかったのに、試合後に痛みを強く感じたという経験はないでしょうか。アドレナリンが多く分泌されると血管が拡張して全身の血流が良くなるのですが、筋肉や関節を始めとする運動器官にも血液が多く流れるようになり、痛覚をはじめとする感覚器官にも影響を及ぼします。さらに通常の状態では考えられない、いわゆる「火事場の馬鹿力」であったり「実力以上のパフォーマンス」を発揮したりすることもあると考えられているのです。

 その一方でアドレナリンが過剰に分泌されると逆にパフォーマンスが下がってしまうことも指摘されています。極度の緊張状態や、プレッシャーなど不安感が強いときには末端の血管が収縮し、体がかたくなって動きもぎこちなくなってしまいます。緊張していると感じたら深呼吸をしてみると良いでしょう。息を大きく吐くことを意識しながらゆっくりと深呼吸を繰り返すと、副交感神経が働き、興奮状態にあった脳や体が冷静さを取り戻せるようになります。

 アドレナリンの分泌によって思いもかけないスーパープレーが生まれたり、痛みに気づかずにプレーすることが可能になったりといったことが起こりますが、痛みそのものは「体の異常を知らせる大事な警告反応」であることを忘れないようにしましょう。特に試合後に痛みが強くなる場合は、大きな負荷によってさらに傷んでしまった可能性があり、適切にケアをすることや再発予防のためのコンディショニングを行うことが大切です。アドレナリンによる心身への影響を理解し、呼吸などによって自律神経をコントロールしながら、最適なコンディションを保つことを心がけてみてくださいね。

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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