愛工大名電vs八戸学院光星
八戸学院光星の右打者と愛工大名電の左打者の対決は白熱した結果に
市橋 昂士内野手(3年) ※写真は過去の取材より
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<第104回全国高校野球選手権大会:愛工大名電6-5八戸学院光星(延長10回サヨナラ)>◇12日◇2回戦◇甲子園
ともに打線が売り物のチーム。特に、対戦の構図として八戸学院光星(青森)の右打者と、愛工大名電(愛知)の左打者に注目して試合を見ていたが、両者譲らず、手に汗握る展開で、愛工大名電の左打者に軍配が上がった。延長10回、無死二、三塁で左打者の美濃 十飛外野手(3年)がサヨナラ打。愛工大名電が前ソフトバンク監督の工藤公康氏を擁した81年以来、実に41年ぶりとなる夏2勝を挙げた。
八戸学院光星の4番・野呂 洋翔内野手(3年)は左打者だが、前を打つ3番の中澤 恒貴内野手(2年)と、後ろを打つ5番・織笠 陽多外野手(3年)の2人の右打者がキーマンだと思っていた。愛工大名電の左腕エース・有馬 伽久投手(3年)をどう打つのか。ヒットマンタイプの中澤と、リストを生かした長打力が武器の織笠のバット次第だと思っていた。結果は有馬に対して中澤が5打数2安打、織笠は4打数無安打に抑えられた。
愛工大名電はスタメンに6人の左打者がいる。4番の山田 空暉内野手(3年)の前の2番、3番、そして後ろの5番から8番までが左打者。結果は、5番の有馬が5打数3安打でチャンスメーク役となり、6番・市橋 昂士内野手(3年)が1安打2打点、7番・美濃が2安打2打点。最後のサヨナラ劇も有馬が出塁して美濃が返した。6得点中、左打者で4打点を挙げた。
八戸学院光星打線は有馬が降板した後、8回以降も右投手2人に2安打しただけ。終盤の勝負どころで本領を発揮した愛工大名電とは対照的だった。
NPBのセーブ記録を持つ元中日の守護神、岩瀬仁紀氏を父にもつ岩瀬 法樹投手(3年)は、7回途中1死一、二塁で有馬からバトンタッチされたマウンドで、打者2人を三振と二ゴロに打ち取り、父に負けじと「火消し役」をしっかり果たした。ピンチに動じないハートはしっかりと受け継がれているようだ。
惜しくも敗れた八戸学院光星の2年生中澤の打撃センスには驚かされる。9回の打席では、8回から登板した愛工大名電の山田がスローカーブを投げたり、横から変化球を投げたり、クイックで投げたりと変幻自在の投球を見せたが、内角のややボール気味の球でも上からたたきつけるような打撃で左前安打にした。少々のことでは幻惑されない打撃センスがある。来年が楽しみになってきた。
(記事=浦田 由紀夫)