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ジャイアンツカップ出場のヤンキース岡山 打撃センス抜群の西岡虎太郎がキーマン

2022.08.15

 8月15日に開幕するジャイアンツカップ2022。中学硬式ナンバーワンを決める球児にとって憧れの舞台であるが、チームとして2度目の出場となるのがヤンキース岡山(ヤング・岡山県)だ。チームの発足は2011年、今年で創立11年と歴史はまだまだ浅いが、ヤングリーグではすでに2度の全国優勝の出場実績を持つ。また、野茂英雄氏が主催する代表チーム・JUNIOR ALL JAPAN(NOMO JAPAN)には、過去3名の選手が選出されるなどハイペースな成長を続けている。

 近年のOBでは、大阪桐蔭出身の明治大・加藤巧也内野手(2年)が甲子園交流試合に出場。昨年は三垣飛馬内野手がレギュラーとして智弁学園(奈良)の甲子園準優勝に貢献した。現役の高校球児も、花咲徳栄(埼玉)や神戸国際大附(兵庫)といった全国屈指の強豪校にも選手が在籍するなど、ジャイアンツカップでも躍進が期待されている。

夏の暑さにも負けない基礎体力作りを最も重視

ジャイアンツカップ出場のヤンキース岡山 打撃センス抜群の西岡虎太郎がキーマン | 高校野球ドットコム
ランニングをする選手たち

「岡山の野球を盛り上げたい」と、木田憲治監督は2011年にチームを立ち上げた。ホームグラウンドはないため、県内の球場を複数借りながら活動しており、移動のためにチームのバスを2台保有。現在は3学年で45名の選手が在籍し、高いレベルで経験を積みたいと腕に覚えのある選手が集まるようになったという。

「はじめは部員も少ない時期もありましたが、現在は1学年14、15人くらいでチーム作りをしています。これくらいの人数だと、3年生と2年生でバランス良くチームを作っていけるかなと」

 設立以来、木田監督は高校野球で通用する選手を輩出することを目指してきた。速い球を投げること、遠くに打球を飛ばすこと、足が速いこと、高校で求められる要素は多くあるが、木田監督が一番に重視するのは基礎体力作りだ。

 言い換えるなら、「練習をするための練習」と言える。練習に耐える体力、夏の暑さに耐える体力作りを1年通して行っており、シーズン中でも練習で走り込みは欠かさずに行う。木田監督は走り込みを否定する昨今の風潮にも理解を示しつつ、走り込みのメニューにもこだわりを口にする。

「走り込みといっても長い距離を走るのではなく、うちは瞬発系を多く入れています。特に夏場は練習でもバテてしまいますし、試合も連戦となります。とにかく暑さでバテることがないようにしたいですし、それが高校での厳しい練習に耐えることにも繋がります。他のチームより走る量は多いと思いますが、そこは自信を持ってやっています」

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西岡虎太郎の打撃センスはチームナンバー1

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西岡虎太郎(ヤンキース岡山)

 こうした方針の下で、多くの選手が強豪校へと巣立っていったが、今年も実力のある選手が多く在籍している。「決して実力のある世代ではなく、入団当初はどんなチームになるのだろうと不安もあった」と木田監督も口にするが、右肩上がりの成長を見せて、見事チームとして2度目のジャイアンツカップ出場をつかんだ。

 主将としてチームを引っ張るのは、2番・遊撃手の佐々岡優翔内野手(3年)。バントや進塁打だけでなく、長打も打てる万能型の選手だが、最大の持ち味は遊撃での堅い守り。球際の強さや握り替え、スローイングの正確さなど「守備力の高さはピカイチ」と木田監督も信頼を寄せ、チームの危機を幾度となく救ってきた。小学校時代はタイガーズジュニアに選出されるなど経験値も高く、ジャイアンツカップでも活躍が期待される。

「はじめは、なかなか勝てないチームでしたが、チームワークが良くなり勝つことができるようになりました。大会でも持ち味を出して、しっかり戦いたいと思います」

 また「打撃センスチームナンバー1」の評価を得るのは、3番・三塁手の西岡虎太郎内野手(3年)だ。174センチ、62キロと細身の体型だが、高いバットコントロール技術で左投手も苦にせず、打率は4割以上。長打率は驚異の.644を記録し、首脳陣からも厚い信頼を得ている。西岡の活躍が、得点の鍵を握ると言っていい。

 そして、打線以上に力を持っているのが投手陣。今年は3年生にも2年生にも能力の高い投手を擁し、ジャイアンツカップ出場の原動力となった。

 主戦を務める高嶋佑樹投手は、183センチ、90キロの屈強な体格で、現在の最速は133キロ。手先も器用で緩急を使った投球を得意とし、層の厚い投手陣を牽引する。

「課題はコントロールです。大会では、エースとしてチームに貢献できるように頑張っていきたいです」

 また2年生では、伊藤歩夢投手、萩野瑠海投手という2人の右腕が注目。伊藤はナチュラルに変化する直球を武器とし、最速は131キロを記録。小学校時代にはタイガースジュニアに選出されるなど経験値も高く、球数の少ない投球が光る。

 萩野は、2年生にして最速135キロをたたき出す本格派右腕。小学校時代にはソフトボールの日本代表にも選ばれ、ヤンキース岡山に入団後も着実に成長を続けてきた。

 層の厚い投手陣と、個性豊かな野手陣で、初のジャイアンツカップ制覇を狙うヤンキース岡山。どんな戦いを見せるのか注目だ。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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