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2022.07.16

専大附、1年生・八木の三塁打2本を含む4安打7打点の活躍で乱戦を勝ち抜く

<第104回全国高校野球選手権西東京大会:専大附16-9中大附>◇13日◇2回戦◇スリーボンドベースボールパーク上柚木

 東都大学野球の付属校対決。付属校の野球の実績では、昨夏のシード校の専大附が上回るが、専大附は本来のエースである斎藤 遥仁が肘を痛め、本来の状態でない。先発の花輪 亮太郎は背番号1ながら、本来は外野手だ。

 その花輪が初回につかまる。1回表中大附が2死一、二塁から5番・長谷川 大慈が二塁打を放ち2点を先制する。さらに三失もあり中大附は1回表に3点を入れる。

 専大附はその裏1点を返したが、試合の流れを専大附に呼び込んだのは、1年生の背番号17・八木 勇成であった。外野手として起用する予定であった花輪を投手として起用したため、外野手として抜擢刺したのだった。2回裏無死一塁から7番・八木は三塁打を放ち1点差に迫る。さらに8番・村山 太一の二塁打で八木も生還し同点に追いつく。

 3回表中大附は主将の3番・藤田 涼の三塁打などで再度勝ち越すが、その裏専大附は1死一、二塁から八木がまたしても三塁打を放ち2人が生還し、逆転した。八木は町田シニアで3番を打っていたそうで、積極的な打撃がチームに流れを呼び戻した。4回表に中大附が1点を入れれば、その裏専大附が2点を入れ、5回が終わった時点で、7対5で専大附がリードするものの、打ち合いが続き、試合の行方は分からない。

 6回表に中大附は6番・本間 政陽の左越えの三塁打などで1点を入れ、1点差に迫る。その裏、専大附は2死二、三塁というチャンスで、打席にはまたも1年生の八木が入る。そこで八木は二ゴロ。「やってしまった」と思った八木であるが、執念のヘッドスライディングで内野安打になり、2人の走者が生還した。

 専大附は花輪、西村 亜瑠久と投手をつないだ。7回表中大附は3番・大澤 慶介の二塁打に続き、3番・藤田は長打を放つが、中堅手の打球処理のミスもあり、一気に生還した(記録は三塁打と中堅手の失策)。ここで専大附は故障明けの斎藤を投入、斎藤は8回に1点を失うものの、試合は作った。

 7回裏は八木の2点適時打もあり一挙に5点。この試合八木は打点7を記録した。「先輩から、失敗しても誰も責めない、と言ってもらい、楽になりました」と語る八木の活躍が、チームに勢いをもたらした。

 8回表に中大附は1点を入れたものの、その裏専大附は2点を入れ16―9、8回コールドが成立した。

 結果はコールドになったが、中大附の健闘が光る一戦だった。中大附の佐藤天馬監督は、「迷いなく振ってくれました。ここまで長打が出ることはなかなかないです」と語る。中大附は練習試合でもリードされることが多かったそうだが、「劣勢でも反骨心」というのがチームカラーであり、「これ以上ないくらい、自分たちの色が出ました」と、藤田主将は語る。

 一方、専大附は勝ったものの、岩渕 一隆監督は「一番ひどい試合でした」と、厳しい表情で語った。次も東都大学野球の付属校である駒大高駒大高は強力打線のシード校だけに、「捨て身でやるしかない」と岩渕監督は表情を引き締めた。

(取材=手束 仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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