試合レポート

明和vs刈谷工科

2022.07.10

継続試合再開後、すぐ3点を追いついた明和が逆転勝ちで刈谷工科を下す

<第104回全国高校野球選手権愛知大会:明和7-6刈谷工科>◇9日◇1回戦◇[stadium]豊田運動公園[/stadium]

 昨夏の愛知大会は5回戦進出を果たして一種の旋風を巻き起こしたと言ってもいい名古屋市の進学校明和。明倫中学時代からの歴史を担う伝統校だ。刈谷工科は、昨夏の大会で母校大府をベスト4まで導いた野田 雄仁監督が異動してきて、今春からチームを率いている。

 大会2日目の7月3日に[stadium]豊田球場[/stadium]の第1試合として始まった試合だった。ただ、その日は台風4号の影響で、朝から不安定な天気。それでも、定刻通りのプレーボールとなった。

 刈谷工科は2回、明和の先発塚本 快晴が雨を気にしてやや制球に苦しむ中、5四死球の2押し出しや犠飛、1番水野、3番濱島の適時打などで5点を奪った。明和は1死満塁で先発の背番号8の左腕塚本がセンターに戻りライトから背番号1の長坂睦がマウンドに立っていた。しかし、2回の攻防が終わったところでこの試合最初の中断となる。

 そして再開後の3回裏、再び雨が降り始めてきた中で、「この後試合がどうなるのかわからない不安もあった」という刈谷工科の濱島が中嶋、古橋に二塁打され、失策も絡んで3点が入る。刈谷工科も、すぐに4回、2つの失策で1点を奪い突き放す。

 その裏、再び雨が強くなって2度目の中断。ここは、7分ほどで再開となったが、6回裏1死という場面で3度目の中断。グラウンドに水も浮いてきたということで、結局、この日は試合打ち切りで継続試合ということになった。1週間後の9日に同球場で継続試合として第3試合に組み込まれて行われるということになった。


 6回裏明和の攻撃、1死走者なしからの継続試合。

 継続再開の最初の打球が失策を招いて、そこから、明和は1番塚本、廣田の連打で1点を返し、さらに四球後、4番山口が左前打して同点となった。刈谷工科としては1週間キープしていた3点リードを10分足らずで追いつかれてしまい、7回から試合は振り出しに戻って仕切り直しとなった。

 こうなると、負けていたのを追いついた明和の方が意識としては優位になっていくのだろうか。

 7回に明和は1死から四球の走者をバントで進めると、9番中嶋の一打が内野ゴロエラーを呼んで逆転となった。そして、そのリードを長坂が気持ちの入った投球で守り切って、明和の逆転勝ちとなった。

 金子 直樹監督は、「こっちとしては追いかける立場としての戦いで、攻撃からの試合再開でしたからよかったですが、まさかあそこで追いつけるとは思っていませんでした。」と、再開後の試合の入りを振り返った。「明和の子たちの集中力が出た時の素晴らしさを見せてくれました。今日の試合の勝は、生徒様様という感じですね」と、自身も明和のOBとしても満足していた様子だった。「一度引退している(負けている)くらいの気持ちでしたから、まだまだ楽しめるぞということで、今日は気持ちが入っていたと思います。それと、雷注意報が出ていて、相手のシートノックが中止になって、少ししてからサイドノックに切り替わったことで、相手は気持ちが入り切れなかったところもあったかもしれません」と、試合に入る前の状況も大いに左右していたことも要因に上げていた。

 刈谷工科の野田監督は、「守りたいという気持ちが先に立ってしまって、受けに回ってしまったところを、点を取りに行かなくてはいけないという思いの相手との気持ちの違いもあったのかもしれません」と、継続試合の難しさも感じていたようだ。

 それでも、大府から異動してきて3カ月と少し、「前任の中田先生(現・豊田西)が作ってきたチームを引き継いできたのですけれども、指導者が変わって戸惑いもあったかもしれない中で、選手たちは、頑張ってよくついてきてくれたと思っています」と、ねぎらっていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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