浦和学院vs上尾
浦和学院は宮城が上尾を完封で関東決定も8四死球と課題を残す
浦和学院・宮城誇南
<春季高校野球埼玉大会:浦和学院6-0上尾>◇3日◇準決勝◇[stadium]県営大宮[/stadium]
爽やかな五月晴れのこの日、大会は準決勝、GW中ということやセンバツベスト4の浦和学院vs公立の雄・上尾戦ということもあり、[stadium]県営大宮球場[/stadium]の内野席は、ほぼ満員の観客で溢れかえっていた。
まずスタメンだが、浦和学院は宮城、金田も先発復帰したフルメンバー、センバツ時と全く同じスタメンとなった。一方の上尾は昨秋の直接対戦時との変更点は、2番に岡安 陽向(2年)を入れ、5番に小川 凱也(3年)、秋5番の中村 峰(3年)は8番に入る。
そして、先発は浦和学院は今大会初先発となるエース宮城 誇南(3年)、一方の上尾は1年生左腕の飯島 恒太が先発し試合が始まる。
試合は初回から動く。
浦和学院は先頭の小林 聖周(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く伊丹 一博(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。ここで3番・金田 優太(3年)がライト前タイムリーを放ちまず1点、二死後5番・高山 維月(3年)が左中間へ二塁打を放ち二死二、三塁とチャンスを広げると、続く八谷 晟歩(3年)がレフト前2点タイムリーを放ち幸先良く浦和学院は3点を先制し飯島をマウンドから引き摺り下ろす。
ここまでは昨秋と全く同じ展開である。
問題はこの後登板する上尾の2番手・右サイドの川口 翔太朗(3年)を浦和学院打線がどう打つかである。
浦和学院は4回裏、その川口に対し、この回先頭の三宅 流架(3年)がレフト線へ二塁打を放ち出塁すると、続く宮城が犠飛を放ち一死三塁とする。ここで、9番・大内 碧真(3年)がきっちりと犠飛を放ち1点を追加する。
浦和学院はさらに5回裏にも、この回先頭の伊丹がライト前ヒットを放ち出塁すると、一死後、4番・鍋倉 和弘(3年)が四球を選び一死一、二塁とする。二死後、6番・八谷が三塁線を破る2点タイムリー二塁打を放ち6点差をつけ完全に試合の主導権を握る。
試合シーン
一方、5回まで浦和学院・宮城の前に1安打に抑えられていた上尾の反撃は6回表であった。
この回先頭の岡安がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く金丸 健司(3年)もライト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。
だが、ここで浦和学院・宮城のギアが上がる。
4番・駿河 咲希也(2年)、5番・小川から連続三振を奪うと、6番・野口 大翔(3年)に四球を与え二死満塁とするが、後続からも三振を奪い無得点で切り抜ける。
8回表にも、この回先頭の岡安に死球を与えると、二死後5番・小川にセンター前ヒットを浴びると、続く代打・太田 壱鳳(3年)にも死球を与え二死満塁とされるが、後続を抑える。
最終回には、この回先頭の中村に死球を与えると、続く代打・佐藤 亮太(3年)にも四球を与える。さらに、1番・石川 陽己(3年)にレフト前ヒットを浴び無死満塁のピンチを招くが、後続を抑える。終わってみれば、上尾打線を5安打完封で封じる。
結局、浦和学院が6対0で上尾を制し、関東大会への切符を掴んだ。
上尾スタンド
まずは上尾だが、川口は攻略され、昨秋は宮城から10安打を放った打線も、この日は5安打。3度の満塁での得点機でつながりを欠き、あと一本が生まれなかった。
「川口は今、組立などを考えるようになり、フォームなども試行錯誤していて、秋と比べ体調面も含めあまり調子が良くない。たださらに上のレベルに行くためには避けては通れない道。最後は原点に立ち返って欲しい。宮城君は秋から数段レベルが上がっていた。夏はああいうボールも打てないと勝てない。チャンスでの気持ちの持ち方。思い切りは大事」
と、高野監督はチームの現状を吐露した。夏に向けて課題はあるが、きっちりとここまで勝ち上がり、全国トップクラスのチームをこの日体感したのは今後へ向け財産になるであろう。粘りは健在の上尾、夏は投打で良い意味での開き直りに期待したい。
一方の浦和学院は、昨秋苦戦した川口をこの日は攻略。苦戦した相手に快勝し関東大会の切符を掴んだ。やはりセンバツベスト4を経験し、打線はスケールアップしている。ただし、一点気になるのは宮城の状態だ。昨春は42イニングで大会を通じ3四死球しか与えなかった(春40イニング以上投げるのはそれはそれで多いが)脅威的な制球力が、この日は今大会初先発ということもあったか8四死球を与え影を潜めた。そのあたりは本人も自覚があるようで
「今回のテーマは前の試合でMAX143kmまで出るようになった直球で押し切ること。どこまで質の良いボールを投げられるか、もう一つはピンチになってからのピッチング。ギアチェンジ」
直球の制御に関してはまだ発展途上であるが、ギアチェンジに関してはまずまずだったのではなかろうか。あとは
「真っ直ぐの制御が仕切れていない。強い相手になると四死球から大量失点に絡む可能性があるので、次の登板までに土台作りをしてフォーム修正もしながら見違えるようなピッチングができるように。調整ではなくワンランクレベルアップをしたい」
と、反省も忘れなかった。
最後に森監督。関東大会出場を決めても奢ることなく
「夏、第1シードで迎えるために総力戦で明日の決勝も勝ちに行く」
とのこと。この辺りは父親譲りだ。浦和学院は明日も全力で決勝に臨む。
(取材=南 英博)