試合レポート

銚子商vs習志野

2022.05.01

銚子商が習志野との伝統校対決を強打と粘り強い守りで制し、3年ぶりベスト4!

銚子商vs習志野 | 高校野球ドットコム
関根大翔(銚子商)

 銚子商vs習志野。千葉県を代表する黄金カードが実現し、ゼットAスタジアムの内野席は、ほぼ満員となり、外野席が開放された。

 専大松戸にコールド勝ちを収め、優勝候補と思わせる戦いを見せた習志野に対し、銚子商がどんな戦いを見せるか。

 銚子商が県大会で発揮してきた打撃力をこの試合でみせた。

 初回、2死二塁から4番加藤 澄海捕手(2年)が右前適時打を放ち、1点を先制。更に5番・石毛 陽己外野手(3年)の右前安打と敵失で石毛自身も本塁へ生還。いきなり3点を先制する。さらに2回表も1番鵜澤 智也内野手(3年)の犠飛、2番・押本 柊也内野手(2年)の適時二塁打、3番久保形 怜司内野手(3年)の適時三塁打で6対0。習志野の背番号1・鈴木 颯太投手(3年)をノックアウトした。鈴木は常時130キロ〜135キロ程度の速球を投げ、県内では力量があると評される投手から6点を取った。

 二塁手の久保形 怜司内野手はこう語る。

「自分の場合、軸足にしっかりと溜めて打つことを心がけています。そうするとしっかりとタイミングも取れます。正しいスイングをして、来たコースに対してしっかりと打つことを心がければ、どんなに(直球が)速い投手からでも打てるといわれていたので、それが実践できていると思います」

 8回表には8番横田 人夢外野手(2年)の右中間を破る適時三塁打で8点目を入れた。澤田監督は今年の打線については「力のある選手が多いので、経験を積んで、力を発揮できるか、でした。だんだん状態は上がっていると思います」と高く評価する。

 投げては、最速136キロ左腕・関根 大翔投手は常時120キロ後半〜133キロの直球に、スライダー、カーブをテンポよく投げ込み、強打の習志野打線を8回まで3失点に抑える力投だった。

習志野打線は非常に怖い打線ですので、外角攻めだけにならないよう、変化球もしっかりと腕を振って、うまく狙い球を絞らせないようにしました。またバックを信じて、そして打者に向き合って投げることができたと思います」

 守備も盛り立て、2併殺でピンチを切り抜けた。「とにかく併殺は大きかったです。落ち着いて投げられたと思います」。守備の要・久保形は緊張感でいっぱいだったという。

「とにかくプレッシャーがすごかったです。点差がついても全く安心できなかったです。習志野打線は(走者が)出れば色々できるチームなので。でも1つ1つアウトにすることを忘れませんでした」

 9回裏にも1点を取られたが、最後までリードを許さず、8対4で勝利。3年ぶりのベスト4進出を決めた。

 最後まで習志野のプレッシャーに負けることなく、勝利を収めた成功体験は銚子商ナインをさらに成長させることだろう。澤田監督は「今年の選手たちは勝ちたい気持ちが強い」と評価しながらも、「千葉県は強いチームがたくさんあります。これからも気を抜くことなくしっかりと練習をさせていきたいと思います」と意気込みを語った。

 次は絶対王者・木更津総合と対戦する。どんな試合を演じるのか。

[page_break:習志野、悔しい敗戦も…指揮官は「収穫が大きい試合」]

習志野、悔しい敗戦も…指揮官は「収穫が大きい試合」

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2番手・吉川凌平(習志野)

 習志野は思いもよらないミスがあった。4回まで7失点。この日、外野手の捕球ミス、判断ミスなどがあり、失点を重ねた。小林徹監督はこう語る。

「おそらく普通の試合では出なかったミスだと思います。銚子商さんというレベルの高いチーム、そして観客が多く入り、緊張感のある試合だからこそ潜在的に弱点だったところが一気に出た試合だったのではないでしょうか」

 確かに専大松戸戦と比べると、らしさがなかった。[stadium]ゼットAスタジアム[/stadium]は風が強く吹いていた。

 背番号1の鈴木 颯太投手(3年)はしなやかなフォームから繰り出す常時130キロ〜135キロ前後の速球にはキレがあり、勢いがあった。スライダー、カーブの各種の精度も悪くないが、守備のミスなどもあり、2回まで6失点。小林監督は「空回りした感があります。ただブルペンでは良い球もあり、悪くなかったと思います」と今後へ向けて期待を込めている感があった。

 そして小林監督は2番手の長身右腕・吉川 凌平投手(3年)の力投を評価した。

「彼の力投は夏へ向けて収穫に残るものでした。2回まで0対6とあれだけ点差がついて、難しい状況ながらしっかりと力を発揮してくれました。確かに2点をとられましたが、試合の流れ的に仕方ないと思いますし、しっかりと攻めができたと思います」

 184センチの長身から角度のある130キロ前半(最速132キロ)の速球とスライダー、カーブをテンポよく投げ分ける投球は見応えがあった。

 小林監督は銚子商のチーム力を称え、そして収穫が多かった大会だったと語る。

「改めて銚子商さんの技術、勢いは素晴らしかったですし、完敗です。チームとして弱い部分が公式戦で見えたのは、大きな収穫です。また今年もあまり実戦を経験できていない選手が多いので、そういう意味で経験できたのも良かったと思います」

 そして林 丈偉主将は「今日はすべて銚子商さんが上回ったと思います。途中も得点できたと思いますが、後半戦の部分でも銚子商さんの執念や勢いがすごかったです。

 夏まで技術的な成長は冬よりもできないと思いますので、チームとしてどう戦えるのか。個人がチームのためにどれだけ働けるかだと思います」

 良さと悪さも出た今大会。それでも実力あるチームであることは変わりない。今大会を糧に習志野が夏までどんな進化を見せるか楽しみだ。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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