近江と熱戦演じた近畿21世紀枠・伊吹は惜しくも落選 夏の甲子園へ「伊吹魂」で挑む
選手に落選の報告をする吉居増行校長
第94回選抜高校野球の選考委員会が28日に行われ、21世紀枠は只見(福島)、丹生(福井)、大分舞鶴(大分)が選出された。
近畿地区推薦校に選ばれていた伊吹(滋賀)は残念ながら落選。春夏通じて初の甲子園出場とはならなかった。
午後3時過ぎ、吉居増行校長の結果報告を選手たちは真剣な眼差しで聞いていた。昨秋は8強で敗れるも準々決勝で夏の甲子園4強の近江と2対3の大接戦を繰り広げた。
積雪量で世界一の11.82mを記録したことがある伊吹山の麓に校舎があり、冬場は雪の影響で実践的な練習ができない。室内練習場もないため、アップで雪上サッカーをしたり、長靴を履いてキャッチボールや打撃練習を行うなど、限られた環境で工夫した練習を続けてきた。
また、選手は地元の米原市と隣の長浜市から通う選手ばかりで、大半が中学の軟式野球部出身。純粋な湖北地域の選手たちがひたむきに甲子園を目指してきた。
野村勇雄監督は「残念ながら、甲子園の切符はいただけませんでしたが、この経験を誇りに今後も甲子園出場を目指し、『伊吹魂』をもって、精進したいと思います」とコメント。吉居校長の報告を受けてからは何とも言えないような表情を見せていた選手たちだが、次第に笑顔が見え、夏に向けて気持ちを切り替えているように感じられた。
「甲子園をモチベーションに練習してきたので、率直に残念な気持ちはありますが、ここでクヨクヨしていたら、夏は絶対に勝てないチームになるので、気持ちを切り替えて、夏は絶対に甲子園に行くんだという思いで練習していきたいです」と前を向いた中川蒼河主将(2年)。まだ雪は多く残っており、これからも試練の時期が続くが、これまでと変わらずに甲子園出場を目指していく。
近江戦で力投した最速139キロ右腕のエース・福井希空投手(2年)は「夏には絶対に150キロを出したい」と力強く宣言。21世紀枠で選出されなかったが、夏は実力で甲子園の切符をつかむつもりでいる。
(取材=馬場 遼)