条件重なり和歌山の古豪が逆転選出!70年ぶりの出場を勝ち取った2007年センバツ
1月28日に、いよいよ2022年選抜高校野球大会の出場32校が決定する。これまでに数々のドラマを生んできたセンバツ出場校の発表。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。
運命の日を前に、過去のセンバツ出場決定で起こった「サプライズ」を振り返ってみたい。
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2007年(平19)第79回大会
県立和歌山商のユニホーム
近畿の選考でドラマが起きた。近畿の出場枠は6。まず前年の秋季近畿大会4強が選ばれた。優勝した報徳学園(兵庫)に、中田 翔(現巨人)擁する大阪桐蔭(大阪)、北大津(滋賀)、市川(兵庫)の選出は順当だった。従来にならえば、これに8強進出の東洋大姫路(兵庫)、北陽(大阪)、智辯和歌山(和歌山)、近江(滋賀)のなかから2校が選ばれると思われたが、投手力の良さを評価されて5校目に選ばれた北陽に続いて選出されたのは、その北陽相手に初戦で敗れていた県立和歌山商(和歌山)だった。
さまざまな条件が組み合わさった。北陽以外の8強どまりだったチームは、大きな決め手に欠けていた。すでに報徳学園、市川が選ばれていたことで兵庫県からの3校目は厳しく東洋大姫路は除外された。ともにコールド負けを喫していた智辯和歌山と近江に加え、8強以外で選考対象に入っていた和歌山で優勝した県立和歌山商、熊野(和歌山)、郡山(奈良)の計5校から1校を選出することになった。初戦敗退した熊野、郡山は総合的な戦力が低いと判断され、智辯和歌山も投手力の弱さを指摘されて落選。近江と県立和歌山商との争いとなったが、最終的には地域性により県立和歌山商が選ばれた。
古豪の県立和歌山商は21世紀枠でも候補に入っていたが、宮崎の公立進学校・都城泉ヶ丘が西日本地域の大本命。県立和歌山商は落選していたが、近畿枠で選考された形となった。1937年(昭12)以来、実に70年ぶりのセンバツ出場だった。
センバツの舞台では、県立和歌山商は4強に進んだ熊本工(熊本)の前に初戦敗退。夏はまさかの県大会初戦敗退に泣いた。県立和歌山商とのマッチレースに敗れた形となった近江は、その年の夏に、センバツに出場した北大津を決勝で破って甲子園切符を勝ち取り、2008年夏と県連覇を飾っている。
なお、2003年から設置され、神宮大会枠対象の地域以外で、補欠1位校のなかから守備力を重視して1枠選出する希望枠として、この年は大垣日大(岐阜)が選出された。北大津、都城泉ヶ丘、関西(岡山)、帝京(東京)を破って決勝に進出。惜しくも1点差で常葉菊川(現常葉大菊川=静岡)に敗れたが、準優勝に輝いた。翌2008年で終了した希望枠としては、この大垣日大の準優勝が過去最高成績となっている。