ヤング春夏連覇の府中広島2000 主将で4番捕手の木村を中心に総合力の高さが光る
今年、ヤングリーグで春夏連続日本一の偉業を成し遂げたのが、広島県東広島市で活動する府中広島2000ヤングだ。全国大会には18年連続で出場を果たしており、10月に行われたプロ野球ドラフト会議では、法政大の岡田 悠希外野手(龍谷大平安出身)、広島新庄の花田 侑樹投手と2人のOBが指名を受けた。
前回は、チームが方針に掲げる「人前で話せるようになること」の重要性や、「子どもの成長のために親の成長も大事である」という中田 博監督の理念を紹介したが、今回は春夏連覇に貢献した選手たちを紹介していく。
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■キーワードは「話せること」と「親の成長」。ヤングリーグ春夏連覇の監督が語る中学野球での人間形成
チームの中心は主将で4番捕手の木村海達
主将で4番捕手を務めた木村 海達
チームの中心となったのは、主将で4番捕手の木村 海達(きむら・かいたつ)だ。175センチ、78キロで、小学校時代は広島東洋カープジュニアを経験し、府中広島2000でも中学通算で16本塁打を放つなど活躍。捕手としても、フットワークの良さや強肩だけでなく、多くの投手をリードする頭脳も光り、まさにチームの屋台骨を担う選手だった。
「広島東洋カープジュニアでは、札幌ドームで全国のいろんな地区から集まった選手と対戦することができました。自分よりも体の大きな選手や、飛距離がすごい選手がいて、この地域では自分が上手いと思っていましたが、もっと上のレベルを目指そうと思うようになりました」
府中広島2000では主将に捕手とチームを引っ張るポジションを任され、最終学年では意識することも非常に多かったという。様々なことに気を配りをしながら全国制覇を経験したことは、野球選手としての大きな自信になった。
「キャプテンとしては、中田監督から常に目配り、気配りをできるようになりなさいと言われていました。困っている選手や、元気がない選手がいないか目を配りながら、そういった選手には積極的に声をかけたり、また人がやりたがらないことを進んで自分がやることを意識しました」
最終的には、プロ野球選手になりたいと目標を掲げる木村は、高校では更なるレベルアップを目指して関東地区の名門校へ進学予定だという。もちろん、甲子園への思いも非常に強い。
「やっぱり甲子園に出場して、プロ野球選手になることが僕の夢です。そこにつながるような高校生活を送りたいと思います」
[page_break:制球力の高さが光る檜垣 桜太郎投手]制球力の高さが光る檜垣 桜太郎投手
エースの檜垣桜太郎投手
投手陣では、檜垣 桜太郎(ひがき・さくたろう)投手が主戦となり、ここ一番での試合で好投を見せてきた。172センチ、70キロの体から繰り出す速球の最速こそ130キロにも満たないが、コーナーへのコントロールと精度の高い変化球は出色。また打撃では5番を任されるなど、投打でチームの勝利に貢献してきた。
「球速は決して速くないですが、コントロールを武器に打たせて取る投球を心掛けてきました。特に全国大会では、勝ち上がるごとに、いい打者も多くなってきましたが、守備のみんなはエラーが少ないので安心して投げることができました。
高校野球では下から上の試合に出場できるように甲子園で活躍できるようにやっていきたいなと思います」
優勝に貢献したのは、バッテリーだけではない。
中川 咲心(なかがわ・さきむね)内野手は強打の1番打者として活躍し、守備では二塁手として堅い守りを見せた。広島広陵に進んだ兄の将心外野手(2年)は1番打者として活躍しており、この秋は明治神宮大会準優勝に大きく貢献した。センバツ甲子園への出場も濃厚で、咲心も兄の活躍を刺激に高校での活躍を目指す。
「府中広島2000で学んだことは、高校や社会に出ても通用すると思っています。学んだことを忘れずに謙虚にプレーして、卒団してから入学式までの期間をどのように過ごせば周りよりいいスタートが切れるのか、よく考えながら過ごしたいと思います。高校では、1年生から監督にしっかりアピールできるように頑張りたいと思います」
最後に紹介するのが、3番遊撃手を任されていた国只 醒永(くにただ・しょうえい)内野手だ。国只は強肩強打を持ち味としており、遊撃手の深いところからも矢のような送球を投げ込む。投手としてマウンドに立つこともあり、また打者としては強いライナーを広角に打ち分けるなど、好守で中心を担った選手だ。身体能力の高さも魅力で、高校野球でも活躍が期待される。
高校野球ではそれぞれの道を歩むこととなるが、進学先での活躍にも期待したい。
(取材:栗崎 祐太朗)