公立の雄・福岡高の背番号11右腕に注目 プロ入り先輩の背中追う
亀田 遥士(はると)投手
2021年秋季福岡大会の準々決勝。九州国際大付打線に立ち向かった公立高校の右腕がいた。県内有数の進学校、福岡の背番号11、亀田 遥士(はると)投手(2年)。将来、大きく成長しそうな予感がする。
亀田は1対7で迎えた6回1死二塁、3番手としてマウンドに上がった。先頭打者に二塁打を浴び、続く打者に四球を与えて1死満塁のピンチを迎えたが、その後、8番、9番打者を連続三振に仕留めて見せた。9番打者には3球三振だった。下位打線とはいえ、強力打線に追加点を許さなかった。
7回もマウンドに上がり失策もあったが3人で攻撃を終わらせると、8回もマウンドへ。先頭の九州国際大付の4番・佐倉 侠史朗内野手(1年)には四球を与えたが、後続を断って3人で終わらせた。2.2回を投げて打者10人に1安打4三振。圧倒的な力で福岡大会を制し、その後九州大会も優勝した打線相手に、最初の打者に二塁打を許した後、9人を無安打に抑えて見せた。
九州国際大付の圧勝ムードだったことは否めない。その中の投球だったこともあるだろう。しかし、結果以上に亀田に「可能性」を感じたのは、その投球フォームだった。踏み出す足となる左足に驚いた。地面に着地する寸前までひざが内側に入ったままで、なかなか着地しない。どこかで見た印象深い左足の使い方だと思っていたら、ヤクルトの奥川 恭伸投手(星稜出身)だ。ロッテの佐々木 朗希投手(大船渡出身)や、ソフトバンクの千賀 滉大投手(蒲郡高出身)もそうだが、粘りがきいた左足の着地までのひざの動きが似ている。当然、レベルの違いはあるが、できそうでできない左足の使い方だと思っている。まだ速球は140キロにはいかないが、天性のものを持っていると感じた。
小森 裕造監督に聞くと「真っすぐとスライダーだけしかない。長いイニング持たないんです。まだ1、2回がやっとの感じ」という。逆に2つの球種だけで抑えきったのかと思ってしまう。4番の佐倉にこそ四球を出したが、最初の1安打を許した白井 賢太郎内野手(1年)からは2度目の対戦で三振を奪って見せた。
公立校には「原石」がいるものだ。1学年上には、今年のドラフトでソフトバンク育成3位で指名された井崎 燦志郎投手がいた。目の前で149キロ右腕の練習を見てきた大きな財産がある。174センチ、64キロ。まだまだ発展途上の右腕だが、冬を越えスケールアップした姿を春の大会で見たい。
(記事:浦田 由紀夫)