広島2年目左腕に憧れた選手中心に最終候補入り 21世紀枠候補校・丹生が目指したい野球像
丹生ナイン(写真=野球部提供)
12月10日、日本高等学校野球連盟は、2022年の選抜に出場する21世紀枠の推薦校の候補として各地区からの代表を決めた。北信越地区からは福井県の丹生(にゅう)が選出された。その発表を受けた指揮官の春木竜一監督が、心境やここまでの歩みなどを振り返った。
「大変な1日でした。今やっとひと段落することができました」
第一声は最終候補に選ばれた心境よりも、その反響だった。そのうえで続けて「これで9分の3ですもんね。大変なことになったと思います」と驚きを感じていることを打ち明けた。
丹生はこの秋、秋季福井県大会を勝ち上がり、ベスト4進出。北信越大会まであと1勝と迫ったところで、準決勝は福井工大福井。そして3位決定戦は敦賀気比の前に敗退。あと少しのところで目標にしていたという北信越大会を逃した。
「もっと上位の成績を残したかったというのがありましたので、悔しかったというのが一番の思いです」
特に敦賀気比との3位決定戦を通じて、チーム力ではまだ県内の強豪との間に差があることを肌で感じた。現在は野球の技術やフィジカル面はもちろん、精神的にも大人になれるようにと、日々練習を積み重ねている。
そうした最中、福井県の21世紀枠の推薦校に選出。さらに先日の10日は北信越地区の推薦校に選ばれた。「普通の高校生たちが、野球が好きで丹生に集まってやっているだけですので、ウチでいいのかな」と不安に思うところもあった。
しかし、現在は今回の選出を前向きにとらえ始めている。
「福井、そして北信越の代表ということで周りから注目されたり、期待をされています。けどそれは、なかなか経験できないことですし、見られていることで自覚を持って練習や行動をすると思うので、精神的に大人になれるいいチャンスだと思っています」
今年のチームは、OBである広島・玉村昇悟投手に憧れて入学し、最速140キロ、常時130キロ中盤を計測する1年生左腕・井上颯太投手(1年)をはじめ、2年前の2019年の福井大会を見て丹生へ入学した選手たちが主力となっている。目標も「明確に甲子園を目指して入学してきた」という選手が多いと春木監督の目には映っており、チーム力であれば2年前を超えていると話す。
しかし井上颯太をはじめ「まだ若いといいますか、精神的に大人だったら」と、メンタル面にまだ課題を感じている。そういった点からも、結果がどうであれ、今回の選出は選手たちの成長に繋がるいい機会だと捉えている。
最終発表は来年1月28日。春木監督は「もし選ばれるようなことがあれば大きな経験になります。それで、もし落選したとしても、こういった機会をもらえたことだけでも大きな財産なので、客観的に見てもこれからが楽しみです」と今後の思いを話した。
玉村の活躍に影響を受けて入学してきた今年のチームがどれだけの力があるのか。そして今回の選出を受けて、どんな選手へ成長するのか。その姿をぜひ甲子園で見たい。
(取材:田中 裕毅)