【ヤクルト】奥川、塩見、大西の台頭でV争い主役~5年目以内の若手
奥川 恭伸(星稜)
今シーズンもルーキーを含め多くの若手選手が一軍で頭角を現してきた。今シーズンから一軍での出番が増えてきた入団5年目以内の選手を球団ごとに振り返ってみたい。
ヤクルトでは入団4年目の村上 宗隆が圧倒的な成績を残している。東京オリンピックでは金メダリストにもなり、すでにヤクルトのみならず球界の顔と言ってもおかしくない存在となった。そんな村上は今シーズンから頭角を現してきたわけではないため今回は除外する。
今シーズンから頭角を現してきた選手では奥川 恭伸の存在が圧倒的だ。奥川は2019年ドラフト1位で指名を受け星稜からヤクルトへ入団した右腕。
2年目の今シーズンは、一般的な先発ローテーション投手のように中6日での登板は1度もない。それにもかかわらず、すでにチームトップタイの8勝を挙げている。15試合の先発登板で11度のQS(6回以上自責点3以下)と安定感も抜群で防御率は3.14。高卒2年目の投手としては文句のつけようのない成績を残している。
特筆すべきはK/BBだ。これは四球を1つ出すまでにどれだけの三振を奪うことができるかを表す指標だが、10.13と群を抜いている。
規定投球回に到達している投手で見ると、セ・リーグでは大野 雄大(中日)が4.33、柳 裕也(中日)が4.31と中日勢がトップ。パ・リーグでも山本 由伸(オリックス)が4.97と5に届かない。奥川は規定投球回未到達ではあるが、K/BBに関しては球界を代表する投手たち以上の数値を残している。
中継ぎでは大西 広樹が成長を見せた。大商大高から大商大を経て2019年4位で指名されヤクルトへ入団した右腕は、ここまで中継ぎとして26試合に登板している。プロ初勝利を含む3勝、さらには5ホールドを挙げ、防御率3.07と結果を残しており、欠かせない存在となった。終盤戦に入ってからは回の途中からマウンドに登る火消しなど、重要な場面で任されることも増えてきた。
野手では塩見 泰隆が1番打者に定着した。2017年4位入団で4年目の塩見は昨シーズンまで不振や故障もあり一軍では結果を残すことができなかった。
昨シーズンもレギュラーを期待されながら43試合の出場にとどまっていた。しかし今シーズンは3割近い打率をキープし、すでに本塁打と盗塁ではキャリアハイを更新。OPS.849はリーグ8位で1番打者としてはリーグトップ。チームの課題でもあった1番をしっかりと埋めている。
ヤクルトは村上や山田 哲人、青木 宣親といった昨シーズン以前からチームを引っ張る選手は揃っていた。そこに今シーズンから頭角を現した選手たちが加わったことで、優勝争いを繰り広げるようなチームへと変貌した。
<今シーズン成績>
・投手
奥川 恭伸(星稜→2019年2位)
15試合(91.2回) 8勝3敗 防御率3.14
大西 広樹(大商大高→大商大→2019年4位)
26試合(29.1回) 3勝0敗5H 防御率3,07
・野手
塩見 泰隆(武相→帝京大→JX-ENEOS→2017年4位)
115試合 打率.299(391打数117安打) 12本塁打 52打点 20盗塁
※数字は2021年9月28日終了時点
(記事:勝田 聡)