試合レポート

東海大相模vs湘南学院

2021.09.11

東海大相模打線が「たたく打球」で強さ増大

東海大相模vs湘南学院 | 高校野球ドットコム
東海大相模1番・伊藤 航大

◆強力打線がどこで火を噴くのか

 この秋より、原俊介新監督に代わり、新体制で秋季大会を迎えている東海大相模だが、初戦の元石川戦では21得点と強力打線は健在だった。3回戦でも同様の攻撃を発揮して、自分たちのペースで試合を進めたい。

 対する湘南学院としては、強力打線に挑む形になり、打ち合いでは分が悪い。出来るだけ相手打線を乗せないようにバッテリー中心に粘り強く抑えるしかない。

 強力・東海大相模打線の出来に注目が集まったが、結果は想像以上だった。

◆6回19得点の猛攻で試合を決める

 先攻を取った東海大相模は、先頭の1番・伊藤航大の上から鋭く叩いた打球がセンターへ抜け、いきなりチャンスメイク。打線を勢いづけると、二死三塁から4番・求 航太郎のレフト前で東海大相模は幸先よく先取点を掴む。

 2回には9番・庄田聡史のタイムリーなどで3点。3回には7番・谷口翔生の叩いた打球が犠牲フライとなりもう1点を追加した。着実にリードを広げると、5回に1番・伊藤が強く叩いた打球が右中間へ飛び、この試合3本目となるヒット。5回を終わって9対1にすると、6回には一挙10得点で19対1と試合を決めた。

 投げては庄田と背番号22・南琉人のリレーで東海大相模が6回コールド勝ちを収めた。

◆光った強く叩くスイング

 監督が代わっても、強力打線は相変わらずの攻撃力だった。また、エンドランや次の塁を積極的に狙っていく「アグレッシブベースボール」の精神も時折見られ、東海大相模の変わらない強さが見えた。

 唯一違って見えたのは、徹底されたスイングだった。
 1番・伊藤や3番・百崎蒼生など、何名かの選手のスイングは、上からしっかりと叩いたダウンスイングに近いような縦振りでボールを捉えているスイングに見えた。

 夏の甲子園でも大阪桐蔭が上からきっちり叩くスイングを見せて、初戦・東海大相模から3本のホームランを放つ打棒を発揮した。それを少し彷彿させるようなバッティングが、東海大相模の打線からも見受けられた。

 こうしたスイングからはじき返される打球は、地を這うような強烈な打球もあれば、外野の頭を越えるような伸びのある打球が飛んだ。元々の能力の高さだけではなく、技術の高さも感じさせる打撃だった。


◆甲子園で学んだ徹底の重要性

 試合後、原新監督は「積極的に打ちにいった結果です」と6回19得点を奪った攻撃陣を称賛した。打線の火付け役となった1番・伊藤は、「前回よりも先頭打者として出塁できましたし、ストレートを狙ったときや変化球に対応できてよかったです」と自身の内容を振り返った。

 そして、上から強くたたいたスイングに関しては「練習からフライを打たずに低いライナーを打つ。高めのボールに打ち負けずに、低いライナーを打つことを徹底しています」と普段からの徹底事項だと話す。

 甲子園での戦いぶりを見て「打席内での考え方を徹底している」ことを学び、チーム内でも打席での徹底事項を貫くことを決めた。それが、現在であればフライを打つのではなく、低いライナーを打ち返すことになっている。

 「志高く、日本一を目指そう」と全国制覇を目指してチームの指揮を執る原監督とともに、徹底された打撃意識で、まずは神奈川の頂点を狙う。

◆一回り成長した姿を見せられるか

 敗れた湘南学院は、東海大相模の投手陣の前にヒット2本に抑えられた。エラーも2つ出るなど、攻守で課題が浮き彫りになった。ただ、シートノックの様子を見ていると、1年生ショート・笹田 典也など軽快かつ安定した守備を見せる内野手が多かった。

 先発したエース・栗原英克も角度を付けた真っすぐと曲がりの大きい変化球の組み合わせが光った。冬場に土台を固め、春に一回り成長した姿を見られることを期待したい。



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湘南学院バッテリー

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シートノック前の円陣

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湘南学院先発・栗原英克

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(記事=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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