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ソフトバンク和田に魅せられたロッテ小島の初完投は「ジャンプ」の第1歩

2021.09.12

ソフトバンク和田に魅せられたロッテ小島の初完投は「ジャンプ」の第1歩 | 高校野球ドットコム
浦和学院時代の小島和哉(ロッテ)

 楽天浅村に投じたこの日109球目が遊ゴロとなって、試合が終わった。一塁手の三木から、ポーンとウイニングボールを渡された。グラブでしっかり受け取ったロッテ小島和哉投手は、ホッとした気持ちと緊張から解放され、笑みをこぼした。

 11日の楽天戦。プロ3年目で初完投をやってのけた。7回まではわずか2安打無死点。完封ペースだった。8回先頭打者の楽天島内に一発を浴びたが、気持ちを切り替え、後続は三者凡退。頼れる左腕ぶりをベンチにもチームメートにも見せられた。

 数字は成長を示している。プロ入りしてからシーズンの登板が1年目から10試合→20試合、そして今年は18試合目。勝ち星は3勝→7勝ときて、今季7勝目で並んだ。三振も45→83ときて、今年ここまで74。そして、投球回数が54回3分の1→113回3分の1として、今季は102回3分の1。今後、ローテーションを守っていければあと5試合は登板できる。登板試合数、投球回数、三振、そして勝ち星と、「ホップ・ステップ、ジャンプ」の「ジャンプ」の飛躍の年になろうとしている。首位争いをしている大事な時期にプロ初完投する若手投手の登場は、チームにとっても、なによりの力になる。

 チームは違えど、同じ早稲田大出身でもあるソフトバンク和田は、後輩の活躍に複雑な気持ちを抱いているに違いない。オフでは一緒にトレーニングした仲で、小島は「目標の人」と公言している。ソフトバンク和田もライバル球団の投手なのであまり活躍されると、うれしくはないだろうが、一方で「かわいい後輩」とも思っているはずだ。同じ左腕。佐々木朗みたいに剛速球があるわけではない。小島はコントロールと緩急、打者のタイミングを外す投球術を和田のようになりたいと磨いている。

 防御率は4.57と、もちろん満足できないが、頼られる左腕の証として、投球回数が増えるのが一番自信になる。ソフトバンク和田は1年目の03年に14勝を挙げたうち、2完封を含め完投は8にも上った。投球回数は189回。小島が目標にしているのも分かる。

 浦和学院2年生エースとしてセンバツで優勝した。早稲田大でも1年春の大学選手権優勝に貢献した。高校でも大学でも日本一となった左腕。多くのリーグ優勝、日本一に輝いているソフトバンク和田に追いつくためにも、小島がロッテを優勝へと導かないといけない。

 そして高校時代の恩師、今夏で勇退した森士前監督への恩返しのためにも、左腕を振り続ける。

(記事=浦田 由紀夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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