秋の東京は一次予選から激戦!強豪校集結で熾烈なブロックが満載
齋藤 誠賢、狩野 光晴、星野 翔太、福原 聖矢
甲子園の夏は終わったばかりだが、9月4日からは、266校・242チームが本大会出場の64の枠をかけて、1次予選が行われる。今後の状況によるものの、本大会は有観客で行われる予定だが、1次予選は無観客で行われる。
それだけに、力のあるチームが分散して、より多く本大会に出場することが望ましいが、強豪が集まる激戦区もあり、力はあっても、チームによっては本大会への道は険しいものになっている。
夏4強の世田谷学園、8強の都立小山台に岩倉が同じブロックに
齋藤 誠賢(國學院久我山)
この秋も昨年に続き、夏の東西東京大会でベスト8以上のチームはシードされる。ただしそれは本大会からで、1次予選では考慮されない。そのため第9ブロックCには、夏の西東京大会ベスト4の世田谷学園と東東京大会ベスト8の都立小山台が入った。しかも都立小山台の初戦の相手はセンバツ優勝経験もある岩倉で、初戦屈指の好カードになった。
夏は修徳相手に3回を無失点に抑えるなど実績を残している小山台の松川 侑聖を、夏は4番を打つこともある吉澤 大翔らの岩倉打線がどう攻略するかが見どころだ。世田谷学園は4番の奥山 廉汰郎らが残った。最激戦区を勝ち抜き本大会に出るのはどこか、予想は不可能だ。
第9ブロックAでは、夏の西東京大会準優勝の國學院久我山が、都立の強豪・日野の挑戦を受ける。國學院久我山は、上田 太陽、下川 邊隼人の二遊間コンビに、中堅手の齋藤 誠賢が攻守の中心。日野には夏は4番の廣岡 太平らが残った。
甲子園出場のため新チーム結成が遅れた二松学舎大附は、強豪集まる第9ブロックに入ったが、二松学舎大附が入ったBには、AやCのような強豪はいない。
都立城東・日大豊山など初戦から好カード
狩野 光晴(日大豊山)
第16ブロックAでは、夏は4回戦で対戦した日大豊山と都立城東が、再度初戦で当たる。投手陣の柱であった3年生は抜けたが、日大豊山は狩野 光晴、城東は高垣 学という力のある捕手は残った。彼らが、経験の浅い投手陣をどうリードするかが鍵となる。この試合の勝者は実践学園と大成の勝者と対戦する。このブロックも激戦区だ。
第16ブロックBは、関東一が頭一つリードしているが、他にも日本ウエルネスや都立の強豪の富士森、高島もいる。3校とも他のブロックであれば、十分本大会に出場できる力があるだけに、ある面、もったいないブロックだ。
初戦のカードとしては、第13ブロックAの城西大城西・日体大荏原、第11ブロックCの東亜学園・都立足立新田なども注目される。城西大城西・日体大荏原は、1979年の東東京大会決勝のカードでもあり、伝統校対決だ。ともにメンバーは大幅に入れ替わるものの、夏8強の東亜学園に、ベテラン・有馬 信夫監督に鍛えられた足立新田がどう対抗かも興味深い。
第6ブロックAでは、東東京大会で準々決勝に進出し注目された芝と、西東京大会シード校の日本学園が対戦する。
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星野 翔太(八王子)
代表決定戦での対戦が予想されるカードにも、好勝負が期待される試合が多くある。まず注目されるのが、第22ブロックAの東海大高輪台と日大二の試合だ。東海大高輪台には球威のある粕谷 祐天がおり、日大二には、昨秋の準々決勝で東海大菅生を苦しめた軟投派左腕の大野 駿介がいる。
第23ブロックBの代表決定戦では、錦城学園と駒大高の対戦が予想される。錦城学園はエースの梅澤 忠央や、この夏東京成徳大高の好投手・岩井 拓巳から本塁打を放った4番の工藤 木秋ら、夏の主力が多く残った。駒大高は、フルスイングが特徴の攻撃型チーム。特に矢崎 蒼空は、昨秋の関東一戦で市川 祐から本塁打を放っている。第2ブロックAでは、日大鶴ヶ丘が都立の強豪・昭和と駒込の試合の勝者と対戦する。
第3ブロックBは、都立東大和と都立文京という都立の強豪対決か。ただし同じブロックの都市大等々力、都立小平西も侮れない。
第6ブロックBは、都立雪谷と八王子の対戦か。雪谷には渡邉 顕人、八王子には星野 翔太と、ともに140キロ超の速球を投げる好投手がおり、投手戦が予想される。ただし、雪谷が初戦で対戦する都立小松側も近年力をつけており、雪谷といえども簡単な相手ではない。
第14ブロックCでは、ジョンソン・マーカス太一投手擁する都立片倉と、夏からメンバーがほぼ入れ替わるものの選手層の厚い東京実が対戦する見込みだ。
第20ブロックAでは、明大中野がややリードしている感じだが、代表決定戦は。東京成徳大高と都立総合工科の勝者と対戦することになっており、どちらが来ても、接戦が予想される。このブロックのBの代表決定戦は、安田学園と日大一という、ともに学校が両国にある強豪同士の熱い戦いが予想される。第1ブロックBの明大明治と都立紅葉川、第19ブロックAの早大学院・啓明学園などの対戦も好勝負が予想される。
新スタートの帝京は、都立八丈と対戦
福原 聖矢(東海大菅生)
大会を通じての優勝候補は、夏のメンバーが多く残る東海大菅生だろう。甲子園では雨中の試合でコールド負けという悔しい思いをしただけに、新主将の福原 聖矢を中心に強い思いで臨む。初戦の相手は聖パウロ学園だ。東海大菅生の優位は動かないが、聖パウロ学園は昨秋のブロック予選では帝京を苦しめただけに、東海大菅生の力を推し量るには格好の相手だ。
帝京は、前田三夫監督の勇退は驚きであった。前田氏は帝京野球部の歴史そのものと言っていいほど特別な存在だけに、新たなスタートをどう切るかが注目される。初戦の相手は都立八丈。全員夏の経験者とはいえ、力の差は歴然としている。それでも帝京にとっては、新たな時代の始まりだけに、その戦いぶりが注目される。
(記事:大島 裕史)