試合レポート

浦和麗明vs浦和西

2021.07.11

エースの好投と15安打8得点を奪った打線。投打の噛み合った浦和麗明が初戦突破

 昨日の雨から一転、この日は30℃を超える夏らしい天気となった[stadium]浦和市営球場[/stadium]、第一試合は今春の地区大会で浦和学院を苦しめた浦和麗明浦和西との一戦である。いきなり気温が上がったことで選手の体調面、特に熱中症に対する一抹の不安が残る。今後はそのあたりのチームとしてのコンディショニングも上位進出への鍵となる。

 まずはスタメン、浦和麗明は今春に調子を落としていた櫻井 一成(3年)が4番に復帰し毛塚 信太朗(3年)が5番へ下がる。

 先発は浦和麗明岸本匠人(3年)、浦和西仙波 侑己(2年)の両エースが登板し試合が始まる。両投手共に制球力が生命線であり、変化球のバリエーションも豊富だ。浦和麗明の岸本のほうがやや直球のスピードがある以外は同系統の投手と言ってよいであろう。

 ゲーム序盤は互角の展開であった。

 浦和西は初回、浦和麗明・岸本の立ち上がりを攻め2番・高梨 陸(3年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、二死後、4番・大西 優也(2年)もライト前ヒットを放つが、オーバ―ランをした打者走者・大西が刺され無得点に終わる。

 先制したのは浦和麗明である。

 2回表、一死から5番・毛塚が四球で出塁すると、二死後7番・中山 恒成(3年)がライト前ヒットを放ち二死一、三塁とチャンスを広げる。ここで続く岸本がセカンドへのタイムリー内野安打を放ち1点を先制する。

 先制を許した浦和西もその裏すぐに反撃を開始する。一死から6番・仙波がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く吉田 龍平(2年)もセンター前ヒットを放ち一死一、二塁とする。ここで8番・酒井 志眞(1年)もライト前へヒット性の打球を放つが、一走・吉田が二塁封殺されライトゴロとなる。後続も倒れ、またしても無得点に終わる。

 一方の浦和麗明は、4回表にもこの回先頭の近藤 武志(3年)が四球で出塁すると、一死後8番・岸本が左中間へ二塁打を放ち一死二、三塁としチャンスを広げる。ここで続く寺島 史哉(3年)がセンター前へ2点タイムリーを放ち3点差をつける。

 初戦ということで序盤こそ投打に硬さが見られた浦和麗明だが、3点差をつけ試合の流れを掴むと終盤以降打線はその持ち味を発揮し始め浦和西・仙波に襲い掛かる。

 7回表、一死から3番・阿保圭輝ディヴァイン(3年)が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く櫻井もセンター越えの二塁打を放つ。だが、二走・阿保はタッチアップの体勢を取っていたため、三塁進塁止まりで一死二、三塁となる。それでも、相手ワイルドピッチにより労せず4点目を得ると、続く毛塚もきっちりと犠飛を放ち5対0とする。


 浦和麗明は最終回にも、先頭の松島 大翔(2年)、新井 智哉(3年)、阿保の3長短打でさらに2点を追加すると、6番・近藤にもタイムリーが生まれ8対0とし試合の大勢は決した。

 投げては、浦和麗明のエース岸本が序盤こそややバタついたが、
「序盤は真っすぐ中心で組み立てましたが、相手打線につながれたので、その後は変化球中心に切り替えた」(岸本)
と徐々に落ち着きを取り戻すと、中盤以降は持ち味である制球力と多彩な変化球を交え浦和西打線を翻弄する。8回被安打6、無四球完封ペースの好投をすると最終回は左腕・金子に譲り金子もきっちりと三者凡退で試合を終える。

 結局15安打8得点を奪った浦和麗明が、8対0で初戦を突破した。

 まずは浦和西だが、エースの仙波は15本のヒットを浴びるなど143球を投じ、最終回にやや足を攣る仕草を見せていたが最後まで粘り強く投げていた。この日のエースの頑張りに横田監督も

「仙波はこれまで100球を超えるとボールが高めに浮くことが多かったが今日は最後まで良く投げ切った。仙波の完投は新チームに向けて良い財産になる」
と目を細める。悔やむべくは序盤2回のチャンスを生かせなかったことか。それがこの日は最後まで大きく響いた形となったが、スタメンの6人が1,2年生である若いチームだけに秋以降に期待したい。

 一方の浦和麗明もこの日はエース岸本の好投に尽きるであろう。高校からピッチャーを始めたとは思えない変化球の完成度であり、球種も多く安定感がある。課題は立ち上がりであるが、計算のできる投手であることに違いはないであろう。序盤初戦の硬さが見られた打線も尻上がりに調子を上げ終わってみれば15安打を放っている。4番に櫻井が入ったことで今春に比べ打線の迫力も増している。まずは順調なスタートを切ったのではなかろうか。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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