巨人・戸田、亜大・松本とともに甲子園経験した武蔵大・山内大輔(東海大菅生出身) 入れ替え戦へ決意
武蔵大学・山内大輔
激化した優勝争いを制したのは桜美林大学だった首都大学野球は、入れ替え戦も見逃せない。今季は一部の武蔵大学と二部の明星大学によって行われ、29日の第一戦では武蔵大学が勝利。一部の意地を明星大学に見せつける結果となった。
そのなかでも一際活躍を見せていたのは、武蔵大学の背番号18・山内大輔(東海大菅生出身)だった。
ノーワインドアップからきっちり軸足に体重を乗せてから、右腕を力強く振り抜く。140キロを超える真っすぐを軸にしながら、緩急を利かせたチェンジアップを効果的に投げ込む。このボールには明星大学の吉田監督も「手が出てしまいましたが、低めを捨ててとにかくゾーンを上げるしか攻略することが出来ませんでした」と話しており、手を焼いていたことを語る。
一方、武蔵大学の山口監督は、山内の投球に関して、「細かなコントロールが出来ていなかったので、本調子ではなかったと思います」と厳しい評価。山内は内と外の出し入れを得意とする制球力の高さが武器だからだが、それでも明星大学は7回を投げて無死四球。開幕戦の筑波大学でも8回無死四球と安定した投球を見せており、シーズン通じて実力の高さは見せている。
そんな山内だが、甲子園ベスト4になった2017年の東海大菅生時代は3番手投手。現在、亜細亜大学の主戦力となっている松本健吾。さらに徳島インディゴソックスから巨人の育成投手としてNPB入りした戸田懐生の2本柱に次ぐ立ち位置だった。ただ、現役時代はピッチャーとして活躍された元プロ野球選手である若林弘泰監督に、マウンド捌きなどを教わった山内は、甲子園準決勝・花咲徳栄戦で登板しており、全国の舞台を経験することが出来た。この2人に強く刺激を受けた山内はこの4年間で大きく成長を見せた。
高校時代は真っすぐが130キロ台を計測していたが、現在は140キロ前半に到達するなど、球速は伸びている。最高学年としてピッチングの完成度はさすがといえる部分があるが、指揮官の山口監督が評価するのは、佇まいだった。
「下級生の時は自分の成績ばかりを気にしていました。ですが、4年生になってピッチャー責任者も任されると、自ら意見を出したり、カバーリングにしっかり行くようになりました。練習でも試合でも野手に声掛けをすることが増えましたし、そういったところは4年間の成長だと思っています」
筑波大学・佐藤隼輔(仙台出身)、日本体育大学・矢澤宏太(藤嶺藤沢出身)など投げ合い、防御率1.69はリーグ全体4位の好成績。リーグ戦中盤で離脱する事態もあったが、マウンド度胸だけではなくエースとしての活躍、そして立ち振る舞いを示し続けた。
チームは翌30日の2試合目を落とし、6月1日の3試合目に持ち越しとなった。入れ替え戦3戦目では、東海大菅生時代は3番手だった山内が、武蔵大学のエースとして一部残留のために奮投なるか。高校時代はエースではなくても、大学で能力が開花するということを今後も活躍し続けることで証明してほしい。