この春、投球回75回。駒澤大のエース・福山優希はなぜタフネスなのか?
駒澤大・福山 優希(八戸学院光星出身)
この東都で鉄腕ぶりを発揮しているのが駒澤大の福山 優希(3年・八戸学院光星)だ。この春の投球回はなんと75である。高校球界でも球数の議論の是非が話題となったが、大学野球でも話題が沸騰しそうな投球回だ。
今回、話題にしたいのは、なぜこの投手がこれほどまでに投げられるのか。5月7日の青学大戦では完封勝利を挙げている。気力以外にも要素があるのではないかと思い、観察をしてみた。
実際に球場で投球や立ち居振る舞いを見ると、故障に強いタフな投手なのが分かる。八戸学院光星時代はどの技術も優れた好投手であったが、沈み込みが深く、やや力みが見えた投球フォームだった。
ただ、今の福山は足を上げる前に、左足を横向きにしてから、ぐっと左足を回しこむように挙げて、その勢いから体重移動を行い、コンパクトなテークバックから振り下ろす。全身をバランスよく使い、余計な反動を使わないため、効率的にエネルギーを伝えて投げる投手に映る。さらにベンチ前のキャッチボールを見ても、コンパクトで、軽く投げているのに、実にキレのあるボールを投げるのだ。
故障しやすい投手に出力は大きいけれど、負荷が大きいフォームをしていることが多い。
福山は無理がなく、自然な投球フォームで投げており、投球テンポも良い。たしかにこのフォームと力の入れ加減ならば、長いイニングは投げられるのが理解できる。
投球内容を見ると、やはりレベルが高い。常時135キロ〜140キロ前半(最速144キロ)のストレートは球速表示以上に勢いを感じさせ、120キロ前半のスライダーといずれも小さく鋭く切れる変化球がある。それでいてマウンド上の粘り強さもある。
これほど好投手としての要素が備わった投手だからこそ、長く活躍することを期待したい。
(記事:河嶋 宗一)