192センチの主砲に注目!19年ぶりの甲子園目指す東山(京都)【後編】
岡島秀樹(元レッドソックスなど)ら数々のプロ野球選手を輩出し、春4回、夏4回の甲子園出場経験を持つ東山。2002年夏を最後に甲子園から遠ざかっているが、一昨年秋の近畿大会に出場するなど、激戦区の京都府において近年も安定して上位に顔を出している。
そんな東山野球部を訪問した。今回は、後編をお届けする。
今年の東山の注目選手
東山の主将・山中颯馬
混戦の京都を勝ち抜くための戦力は充実している。投手陣の軸となるのは秋に背番号11ながらエース級の働きを見せた橋本 翔太(2年)。最速142キロのストレートにカーブ、スライダー、チェンジアップといった変化球をコントロールよく投げられる本格派右腕だ。打ってもクリーンアップを任されており、投打に活躍が期待されている。
秋の京都国際戦は橋本がサヨナラ打を打たれて敗北した。「僕の失投で負けてしまったので、京都国際に勝ちたいという気持ちは強いです」とリベンジに燃えている。
橋本に続く投手として期待されているのが、谷川 慶(3年)と山中だ。谷川は最速144キロの力投派右腕。足立監督はゲームメイク能力に課題を上げているが、素材型として今後が楽しみだ。
外野手兼任の山中は安定感のある右横手投げ。現在は野手メインで練習しているため、登板機会は少なくなりそうだが、いざという時には頼りになる存在だ。
彼らをリードする捕手の原 亮二(3年)もかなりの実力派だ。正確なスローイングと巧打が持ち味で、取材日も攻守に躍動した姿を見せてくれた。
取材日は家庭の事情で欠席していたが、秋に1番を打った牧原 優太(2年)は「粘り強いバッティングが持ち味。下級生ながら心身ともに引っ張ってくれている」と足立監督が高く評価している選手。春以降もリードオフマンとして、打線を牽引してくれそうだ。
山中が期待の選手に挙げたのが、二塁手の奥山 仁翔(3年)。逆方向にも強い打球を打てる好打者で、秋は2番を任された。打線のつなぎ役としてチームに欠かせない存在になっている。
[page_break:192センチ93キロの主砲]192センチ93キロの主砲
打撃練習する早田 慧
そして、注目の逸材が4番に座る早田 慧(3年)だ。身長192㎝、体重93㎏の大型内野手で、手足の長さを生かした豪快な打撃と球際に強い守備を強みとしている。公式戦に出るようになったのが昨秋からということもあり、高校通算本塁打は5本と少ないが、これから本塁打を量産してもおかしくない。
「体が大きい分、動きが鈍かったり、反応が遅かったりするので、細かい動きを春から夏にかけて克服したいと思います」と現状の課題も認識しながら、能力の向上に余念がない。
秋は一塁手で出場していたが、この春からは三塁手に挑戦。コンバート当初はライン際の打球に苦戦してきたそうだが、「だいぶ慣れてきました」と手応えを感じている様子。卒業後も野球を続ける意欲を示しており、打席の左右は違うが、将来は佐藤 輝明(阪神)のような大型三塁手になってくれそうな雰囲気も感じさせる。
近年の東山は上位に勝ち進みながらもあと一歩の壁がなかなか破れずにいる。その中で今年の3年生が掲げたスローガンが「一への挑戦」だ。それはもちろん、京都で一番を目指すことを意味する。
「チームの目標がブレていたらチームがまとまらないと思うので、東山の目標である『京都一』を芯に持ってやっています」と山中は誰よりもチーム目標を意識しながら、主将としてチームを引っ張っている。チーム内には優勝を狙う意識が浸透しており、後は結果に繋げるだけというところまで来ているが、足立監督はさらにその先を行くチーム作りを目指している。
「甲子園に行くだけではなく、全国で戦えるチームになりたいと思いがあります。勝負事なので、運で勝つこともあれば、負けることもあると思うんですけど、勝った時になぜ勝ったのかを理由を自分たちで理解できるチームになりたいと思っています」
京都府内には近畿大会に出場した龍谷大平安、乙訓、京都国際に加え、京都翔英、京都外大西、福知山成美、立命館宇治など強豪校がひしめくが、ライバルを打ち破って、久しぶりの甲子園切符を掴み取ることができるだろうか。京都一への挑戦を目指す東山の戦いぶりから目が離せない。
(取材=馬場 遼)