試合レポート

仙台育英vs明徳義塾

2021.03.19

好守連発も…馬淵監督に「守備の明徳は言えない」と嘆いたワンプレー

仙台育英vs明徳義塾 | 高校野球ドットコム
伊藤樹(仙台育英)

 仙台育英明徳義塾の1回戦注目カードは仙台育英が制した。

 先制したのは仙台育英。2回に5番・秋山 俊が内野安打とエラーで出塁すると、6番・遠藤 太胡のタイムリーで1点を先制に成功。試合の主導権を握ると、先発していた古川 翼を4回途中で下げ、エース・伊藤 樹を投入した。

 伊藤は140キロを超える真っすぐに多彩な変化球を混ぜて明徳義塾打線を翻弄。スコアボードに0を並べ続け、そのまま明徳義塾の反撃を許さずにゲームセット。1対0の投手戦を制した仙台育英が初戦を突破した。

 今大会屈指の好カードと呼ばれたこの試合は期待に違わぬ好カードとなった。

 仙台育英明徳義塾のミスを逃すことなく1点を奪い、逃げ切る形となったが、明徳義塾は随所に明徳義塾らしい堅守を見せてきた。

 6回にはノーアウトから仙台育英八巻 真也のフェンス近くの大飛球をライト・山蔭 一颯が粘り強く追いかけてアウト。さらに7回には二死一、二塁のピンチでレフト・高松 紳志がダイビングキャッチ。そして8回にもファールゾーンに飛んだバントの小フライを梅原 雅斗が飛び込んでアウトを演出。明徳義塾の堅守ぶりは随所に見られた。これにはマウンドの代木 大和も「ヒット性の当たりも助けてもらった」と試合後には野手陣を称賛した。


仙台育英vs明徳義塾 | 高校野球ドットコム
米崎薫暉(明徳義塾)※写真は昨秋の県大会より

 明徳義塾では仙台育英が対戦相手に決まってからシートノックでは、仙台育英の脚力を想定して練習に取り組むなど高い意識をもって取り組んできた。ショートを守る米崎 薫暉主将も「仙台育英さんは足が速いことがわかっていたので、いつもよりも守備位置を前にしたりして、対策はしてきました」と脚力ある仙台育英を想定した練習を積み重ねてきたことを明かす。

 またレフトでダイビングキャッチを見せた高松は、「森松(幸亮)の声が聞こえましたので、思い切って勝負しました」と他の野手陣との連携による準備に伴った好守だったことを語る。こういった準備は明徳義塾の普段の練習の中では当たり前にように取り組まれていることで、こうした事前準備こそが守備からリズムを作るとされる明徳義塾明徳義塾たる所以なのだ。

 そうした事前準備による好守があったにもかかわらず「良い流れが来なかった」と馬淵監督は一言。さらに失点に繋がった2回の守備については「あれは内野安打とわかっていたんだから投げちゃいけないし、ボールを後逸してもいけない。あれはベンチのムードも悪くなりますし、守備の明徳は言えない」と辛口のコメントを残す。

 ただこうなるのにも理由はある。馬淵監督も「とにかく脚力のある選手がそろっている」と言うように、仙台育英は走力を武器としたチーム。仙台育英では定期的に行う記録測定で一塁駆け抜けタイムを3.8秒と設定して選手たちを判断している。そのスピードに堅守・明徳義塾の守備が乱れたのではないだろうか。

 普段の練習で積み重ねてきた守備をいかんなく発揮した明徳義塾だが、1回の一瞬のミスが「守備の明徳は言えない」と馬淵監督も納得できぬエラーとなり、勝敗を分ける形となってしまった。

 とはいえ、これだけ高度であり、気合が入った好守備を見せ続けた明徳義塾の選手たちは間違いなく高校野球ファンを魅了した。

 次元が違うスピードを体感した明徳義塾はこれを機にどう守備が強化されていくのか注目をしていきたい。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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