東京ヤクルト・奥川恭伸(星稜出身)はWHIP0.67、オリックス・前佑囲斗(津田学園出身)は奪三振率10.5をマーク!
奥川恭伸
11月1日、今シーズンのファーム公式戦が終了し、残すは7日のファーム日本選手権のみとなった。一軍も各球団残り5試合ほどとなっているが、その中でどれだけ高卒新人たちが出てくるか楽しみにしているファンも多いことだろう。本連載では高卒新人たちのファーム成績を追いかけ、その成長を分析する。第20回では、投手たちを見ていこう。
今シーズン、高卒新人でファーム規定投球回に到達した選手はいなかった。やはり、ファームとはいえ高卒1年目の投手が多くの回を投げることは、簡単なことではないようだ。そこで今回は、15回以上を投げた9投手に絞り、投球内容を見ていく。下記グラフは、彼らのWHIPを可視化したものだ。
高卒ルーキーのWHIP(11月2日時点)
グラフを一目見れば、東京ヤクルトの奥川 恭伸(星稜)が一人、ずば抜けた位置にプロットされていることがわかる。コンディション不良などもあり投球回は19.2回と少ないものの、安打/投球回は0.57、四球/投球回は0.10でWHIP0.67と圧倒的だ。奪三振数も18をマークし、防御率1.83と、内容面においては言うことがないレベルの投球を見せた。
内容面では奥川に及ばないものの、今季の高卒新人投手で最も好成績を残したのは間違いなく宮城 大弥(興南)だ。WHIP1.25と、エース級と呼ばれる1.2にはわずかに届かなかったものの、高卒新人最多の59.2回を投げ防御率2.72。初勝利こそならなかったが、一軍でも2試合に登板するなど、充実の1年目となった。
宮城とチームメイトの前佑 囲斗(津田学園)は、投球回こそ24回にとどまったが、安打/投球回は0.79と、宮城を上回っている。さらに、投球回を上回る28奪三振を記録するなど、その球威は十分通用することがわかった。
横浜DeNAの浅田 将汰(有明)は50.2回、阪神の西 純矢(創志学園)は45回と、宮城に次ぐ投球回を投げ、多くの経験を積むことができた1年だった。内容面ではまだまだ課題はありそうだが、球威という点では光るものを見せてくれた。
阪神の及川 雅貴(横浜)、オリックスの中田 惟斗(大阪桐蔭)、巨人の井上 温大(前橋商)、ロッテの横山 陸人(専大松戸)はいずれも安打/投球回が1.0を大きく上回っており、奪三振率も3~5程度と、球威という面で課題がありそうだ。しかし四球/投球回は0.4前後と制球面では安定しており、ここは強みとして活かしていきたいところだ。
ファームのシーズンは終了したが、今月10日に行われる東京ヤクルトの最終戦では、奥川の一軍デビューが予定されている。一軍のシーズンも残り5試合ほどとなり、各球団とも来季へ向けた若手の昇格などが増えてきた。奥川以外にも、デビューを果たす選手が出てくるだろうか。
※成績は全て11月1日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
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(記事=林 龍也)