1998年世代の大学生投手は「松坂世代」「1988年世代」に匹敵する大豊作!世代を牽引する10名と大学再入学の剛速球右腕を紹介
21世紀以降のプロ野球を盛り上げ、各球団の主力投手として活躍する世代といえば、「松坂世代」といわれる1980年生まれの投手、日本では大野雄大(京都外大西出身)、MLBでは田中将大(駒大苫小牧出身)、前田健太(PL学園出身)など国内外で活躍する選手が多い「1988年世代」。
そしてこの2世代に並ぶ投手豊作世代といわれるのが「1998年世代」だ。史上最強の投手力でアジア大会を制覇し、ドラフト時では豊作といわれたこの世代はオリックスの山本由伸(都城出身)がけん引する形となっている。
そして今年の大学生のほとんどは1998年世代にあたるが、プロ志望届けを提出した投手のほとんどが逸材揃い。彼らが一挙プロ入りすれば、松坂世代や1988年世代に匹敵するぐらい大豊作である。この世代、人材が豊富すぎるので、今回は世代を牽引する逸材12名に紹介したい。
早川隆久(木更津総合-早稲田大)
まず今年の全カテゴリーでナンバーワンピッチャーなのが早川隆久(木更津総合-早稲田大)だろう。力みがなく、合理的な投球フォームから150キロ中盤の速球、スライダー、チェンジアップ、カットボールで三振を量産。奪三振どころか、K/BBも圧倒的。練習もストイックで、マインド面も野球選手の鏡。海外志向がなければ、10年以上はエースピッチャーとして活躍するかもしれない。それだけの投手である。
鈴木昭汰(常総学院ー法政大)も高校時代、技巧派だったが、大学4年で150キロ前後を計測する左腕へ。もともとテクニックがうまかった左腕がパワーピッチングもできるようになった理想的な成長を描いており、スライダー、チェンジアップの切れ味も抜群。彼もドラフト候補だろう。
木澤尚文(慶應義塾-慶應大)は、最速154キロの速球、140キロ前後のカットボール、フォークボールで勝負する投手。通算奪三振が投球回を大きく上回っており、調子がハマったときは打たれる予感がない。たとえ打たれても、何度もチャンスを与えたくなるようなポテンシャルの高さがある。
入江 大生(作新学院-明治大)はリーグ戦初完封と4年秋と遅咲きだが、縦回転の投球フォームから繰り出す140キロ後半の速球と縦変化の変化球の切れ味は抜群。大学時代とは比べものにならないぐらいプロで勝ち星を稼ぐ可能性を持った本格派右腕。
高田 孝一(法政大)は左腕を真上に突き出してから振り下ろす豪快なフォームから155キロの速球と切れ味鋭いスライダーを武器にする剛速球右腕。
東都では平内龍太(神戸国際大附-亜細亜大)は最速156キロをマークした速球派右腕。オーソドックスな動きで、力みを感じないフォームで、コントロールもよく、スライダーのキレも抜群。非常に伸びのある速球を投げ込む逸材だ。中継ぎならば即戦力として活躍できる可能性がある。
森 博人(豊川-日本体育大)
中川颯( 桐光学園-立教大)は右下手投げから130キロ中盤の速球、スライダー、シンカーを投げ、リーグ通算57試合に登板。速球派揃いの大学生投手にはいないタイプであり、特徴がある投手として、人気になりそうだ。
山野 太一(高川学園-東北福祉大)は最速150キロの直球、高速スライダー、カーブを武器にする本格派左腕。これまで多くの投手を輩出している東北福祉大の中でもトップクラスの逸材。
森 博人(豊川-日本体育大)は細身の体型をバランスよく使って、鋭く腕を振っていく投手で、150キロ前後の速球と切れのある変化球を内外角に投げ込む投球術はハイレベル。
地方リーグでは、大道 温貴(春日部共栄-八戸学院大)が圧倒的だろう。完成度の高いフォームから140キロ後半の速球、多彩な変化球を投げ込む投球は六大学、東都の投手と比較しても負けていない逸材。
トミージョン手術を行い、現在、復帰を目指しているが、山崎伊織(明石商ー東海大)が3年春、大学選手権の投球は、衝撃的で、スカウトが「来年(2020年)の1位だな」と口を揃えたほどの凄みがある。角度のある150キロ前半の速球と切れ味鋭いスライダーが復活すれば、世間を賑わす投手であることは間違いない。
そして、最後に紹介する伊藤大海(駒大苫小牧-駒大中退-苫小牧駒沢大)だろう。彼は駒大を中退して、再入学で苫小牧駒沢大を経験した投手だ。最速155キロの速球は明らかに勢いが違う。そしてスライダー、カットボールなど多彩な変化球の切れ味は抜群で、投手としての欠点が見当たらないぐらい完成されている。即戦力としての期待も高く多くの球団が1位候補に挙げている。
まだ今年の大学生では数年経って同世代を追い抜く可能性を持った投手は多くいる。ぜひ改めてこの世代は凄かったと思わせる活躍を期待したい。
(記事=河嶋 宗一)