大阪桐蔭、近江、智辯学園らが強豪集う秋季近畿大会。見どころ、注目選手たちを紹介!
令和2年度 秋季近畿地区高等学校野球大会がわかさスタジアム京都で17日から開幕する。今回は常連校だけでなく、初出場や久しぶりに出場する学校もあり、見どころの多い大会となりそうだ。
智辯学園のWエースに来年のドラ1候補など初日から逸材登場!
西村 王雅(智辯学園)
開幕カードは滋賀1位の滋賀学園と奈良2位の智辯学園。滋賀学園はエースの阿字悠真(2年)が大黒柱となる。最速146キロのパワー型投手で、ここ一番で踏ん張れる粘り強い投球が持ち味。彼を中心に守りから流れを作っていきたい。
打線は主将で1番の知花優摩(2年)を中心にどこからでも点を取れる厚みがある。4年ぶりに甲子園出場も十分に可能な戦力だ。
智辯学園は昨年からの投打の柱が残っている。投手陣は左腕・西村王雅(2年)と右腕・小畠一心(2年)の二枚看板が盤石。西村は甲子園交流試合で中京大中京の高橋宏斗(3年)と壮絶な投げ合いを披露した。1年生の時から投げっぷりの良さが光っていたが、一冬越えて制球力も向上。新チームでも頼れるエースとして存在感を示している。
西村と1年生から投手陣を支えている小畠も安定感があり、投手力に不安はなさそうだ。打線では1年夏から4番を打つ前川右京(2年)に注目が集まる。プロ注目の長打力に加え、チャンスに強い打撃も光る。彼の前に走者を溜められるかどうかがポイントになりそうだ。
続く第2試合では京都1位の龍谷大平安に初出場の大阪3位・大阪山田が挑む。龍谷大平安は打撃型のチーム。長打こそ多くはないが、強い打球で野手の間を抜いていく攻撃が光る。京都大会でラッキーボーイ的存在となっていた辻村大我(1年)が好調を維持しているかに注目だ。投手陣は絶対的な存在がおらず、複数投手で繋いでいくことになる。粘り強く最少視点で凌ぎ、打線の援護を待ちたい。
大阪大会で履正社を破って話題になった大阪山田は手堅い守備と積極的な走塁を武器としている。スター選手は不在で、過去の実績では他校に比べて見劣りするが、強豪私学を次々と倒した勢いを近畿大会でも持続させたい。
小園 健太(市立和歌山)
和歌山1位の市立和歌山は初出場の兵庫2位・東播磨と対戦する。市立和歌山のエース・小園健太(2年)は最速152キロのストレートに打者の手元で変化するカットボールが武器の好投手で、来年のドラフト1位候補とも言われている。
小園と貝塚ヤング時代からバッテリーを組む松川虎生(2年)も注目の強打者。柔らかさと力強さを兼ね備えたスラッガーで、チャンスの場面では非常に頼りになる。彼ら以外にも旧チームから試合に出ている選手が多く残っており、優勝候補に挙げてもいい好チームだ。
東播磨は加古川北を甲子園に2度導いた福村順一監督が2014年に赴任してから着実に力をつけてきた。エースの鈴木悠仁(2年)は安定感のある右腕。守備も二遊間を中心に高いレベルにあり、兵庫県大会では6試合中5試合で2失点以内と守り勝つ野球を身上としている。攻撃は機動力を活かして得点を重ねていくスタイル。足を使って、好投手相手に揺さぶりをかけていきたい。
[page_break:優勝候補・大阪桐蔭など2日目も強豪が続々登場!]優勝候補・大阪桐蔭など2日目も強豪が続々登場!
德丸 天晴(智辯和歌山)
2日目の第1試合では和歌山3位の智辯和歌山と大阪2位の東海大仰星が激突する。智辯和歌山は1年春から4番を打つ德丸天晴(2年)に注目が集まる。芯で捉えた時の打球は目を見張るものがあり、来年のドラフト候補に挙がるスラッガーだ。彼の打撃結果がチームの勝敗に直結するだろう。エースの中西聖輝(2年)も来年のドラフト候補になり得る好投手。制球力が高く、変化球も巧みに使うことができ、攻略するのは容易ではない
東海大仰星はエースの高橋怜央(2年)が昨秋から好投手として大阪で名を馳せてきた。スライダーのキレ味は絶品で、智辯和歌山打線でも攻略するのは簡単ではないだろう。守りから流れを作り、1番の中村暖道(2年)や4番の佐藤裕樹(2年)を軸に得点を積み重ねたい。
第2試合ではともに初の甲子園出場を狙う和歌山2位の和歌山東と京都3位の京都国際が対戦する。和歌山東は強力打線が持ち味。1年春からレギュラーの佐々木惇斗(2年)は攻守にセンスの良さを感じさせる。
秋から4番に座る上代真大(2年)の強打にも注目だ。エースの田代生成(2年)はノビのあるストレートとチェンジアップのコンビネーションで凡打の山を築く。攻守にバランスがとれており、ダークホースになりそうな存在だ。
京都国際は突出した選手こそいないが、手堅い野球を展開する。投手陣は丁寧な投球が光る右腕の平野順大とポテンシャルの高い左腕の森下瑠大の1年生コンビが軸となる。彼らをリードする捕手の中村勇斗(2年)は4番打者としてもここぞの場面で頼りになる存在。彼の前後の打者が結果を残せば、大量点も見込むことができる。
第3試合は兵庫1位の神戸国際大附と滋賀2位の近江による対戦。両校とも過去2年は近畿大会の初戦で敗れており、今年こそはセンバツ出場を勝ち取りたいところだ。神戸国際大附は阪上翔也(2年)が145キロの速球を投げる本格派右腕として、来年のドラフト候補に挙がっている。秋の兵庫大会は全て2失点以内で勝ち進んでおり、近畿大会でも守り勝つ野球を見せていきたい。
近江は夏の独自大会で活躍を見せた山田陽翔(1年)がエースとしてチームを引っ張る。140キロを超えるストレートに加え、フォークやスライダーといった変化球も一級品。打撃でも5番を任されており、投打に渡る活躍が期待される。攻撃面では4番の新野翔大(2年)が夏から勝負強い打撃を見せつけており、彼の前にどれだけチャンスを作れるかがポイントとなりそうだ。
池田 陵真(大阪桐蔭)
24日の第1試合では優勝候補の大阪1位・大阪桐蔭に70年ぶりの近畿大会出場を果たした進学校の兵庫3位・長田が挑む。大阪桐蔭は投手陣に松浦慶斗(2年)と関戸康介(2年)の最速150キロ台コンビを擁する盤石の布陣。1回戦と準々決勝が連戦となるが、不安は全くない。
打線は旧チームから公式戦経験のある宮下隼介(2年)や池田陵真(2年)が中軸として牽引する。特に4番を打つ池田のスイングの強さは高校トップクラスで、甘く入ればスタンドに放り込む怖さがある。長田としては何とか彼を封じ込めたいところだ。
長田は強敵相手に接戦を勝ち抜いてきた。まずは序盤の猛攻を耐え、後半勝負に持ち込むことができれば、勝機が見えてくるだろう。兵庫大会で力投を見せた松田宰(1年)がどこまで粘れるか。
1回戦最後のカードは奈良1位の天理と京都2位の乙訓。天理は身長193㎝右腕の達孝太(2年)が絶対的エースとして君臨する。角度のある最速145キロのストレートは威力があり、そう簡単には打ち崩せない。打線は内山陽斗(2年)や杉下海生(2年)がチャンスを作り、4番の瀨千皓(2年)が還すのが主な得点パターン。昨年の経験者を軸に連覇を狙いたい。
乙訓は安定感のあるエース右腕の北見隆侑(2年)を中心に堅い守りが光るチーム。守備から綻びが出ることは恐らくないだろう。攻撃では犠打やエンドランといった小技を絡めながら、小刻みに得点を重ねていくのが持ち味。相手の隙を突いて、好投手を攻略していきたいところだ。
センバツ出場枠は他地区より多い6だが、この切符を掴み取るのは簡単ではない。初戦から息詰まる戦いが多く見られそうだ。
(記事=馬場 遼)