投手本格専念は高校から。関東一の最速137キロ左腕・今村拓哉の決意「自分の個性を発揮したい」
2年連続で東東京王者を目指す関東一。その関東一投手陣の中心が左腕の今村拓哉だ。
左腕から130キロ後半の速球を投げ込み、安定した投球を見せる今村。驚くことに中学時代は怪我のため、ほとんど登板経験がないという。そんな今村の軌跡を追っていく。
去年の絶対的エースに超えるために練習をしてきた
今村拓哉(関東一)
中学時代は昨年のU-18代表にもなった鵜沼魁斗(東海大相模)と同じ千葉西シニア出身。このときはエースではなく、怪我が多く、野手メインで、登板はほとんどない。唯一登板があった試合でたまたま関東一の関係者の目に留まり投手として誘われ、関東一進学を決める。
「怪我であまり試合に出られなかったのですが、投手としてプレーしたいとずっと思っていました。中学3年生ぐらい怪我は治ってきたので、入学まで投手メインの練習をしてきました」
そして関東一入学後。ベンチ入りを果たしたのは1年秋からだった。2年春もベンチ入りするも、1学年上には土屋大和(立正大)、谷 幸之助(國學院大)のダブルエースがいたため、登板機会はなかった。それでも2人を超えたい思いで練習をしていた。
「土屋さん、谷さんは尊敬はしていましたし、同時に超えたいという思いは常に思っていました。だけれど自分の実力不足でなかなかチャンスはなかったですし、怪我もありました」
2年夏は怪我でベンチ外となり、甲子園ではスタンドから声援を送った。そして2年秋にから練習試合で登板する機会も増え、公式戦登板も経験したが、2年秋の都大会・帝京戦では小松涼馬から本塁打を打たれるなど悔しい経験も味わってきた。
「自分もその流れを打ち切る事ができず打たれてしまい。小松選手にも打たれたのも含めて、夏は絶対に借りを返さないといけないという思いになりました」
そして冬の練習に入り、投手陣は米澤監督から発破をかけられ、今村は「投手1人1人が変わらないといけないと思いましたし、まずは野球以前となる基本的な取り組みからしっかりと懸命に取り組もうと思いました。お互いが刺激しあったことで、練習内容も変わってきましたし、自主練習の時間も増えてきたと思います」
秋以降、投球練習の数を増やし、課題だったコントロールに磨きをかけた。帝京戦で小松から打たれた経験をしっかりと糧にするために。さらにストレートを活かすために、変化球にもスライダーを中心に磨きをかけてきた。
[page_break:練習試合では好投。調子を上げて、個性を発揮したい]練習試合では好投。調子を上げて、個性を発揮したい
今村拓哉(関東一)
ひと冬越えて投球の感覚を掴み、対外試合でも成長を実感していた。そういう中で、コロナ感染拡大の影響で活動が自粛となり、今村は千葉市の自宅に戻り、千葉西シニア出身のメンバーとグラウンドで走り込み、ノック、投げ込みなどを中心に行ってきた。
そしてグラウンドでの練習が再開し、再び仲間と出会えた時は「やはり嬉しかったですね。これまで当たり前にできていたことがそうではないことに気付かされました」
活動再開後の練習試合では好投し、7月に入るまでの練習試合では11イニングを投げ無失点(取材時点)の好投を見せ、最速も137キロを計測した。夏にはさらに速くなる手応えを感じている。
「自分が出した試合はそれほどストレートの調子が良くないなかで出た数字です。ただ自分はストレートの球質、キレの方に自信があるので、調子を上げる中で、これからも切れを求めつつ、いずれ140キロは出ればと思います」
そして夏の大会へ向けて意気込みを語った。
「今年の投手陣は僕も含めて、それぞれ個性があります。去年の谷さん、土屋さんのような絶対的な特徴や実力がなくても1人1人が個性を発揮して活躍していきたいと思います」
念願だった投手志望でここまで実力を伸ばしてきた。
最後の夏はこれまでの積み重ねを発揮し、最高のピッチングを見せる。
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