和田康士朗は小川高唯一のOB! その他に埼玉県でNPBプレーヤーをひとりだけ輩出している学校は?
2017年、千葉ロッテに育成1位指名を受けた和田康士朗(県立小川-都幾川倶楽部野球団-富山TB)
6月19日に3ケ月遅れでプロ野球が開幕した。無観客試合ではあったものの、テレビやインターネット配信を用いて多くのファンが観戦。たくさんの思いが戦っている選手や監督、コーチ陣へと届けられたことだろう。
そんな中、代走での出場ながら大きく注目されたのが、6月1日に育成契約から支配下登録されたばかりの和田康士朗(ロッテ)だ。6月の練習試合でも7個の盗塁を決めた足のスペシャリストである。
この日の試合でも1点ビハインドの9回表に一塁走者の代走で起用されると、「甲斐キャノン」をかいくぐり、プロ入り初盗塁を決めその後ホームに生還している。
今後、有観客試合が行われるようになったら、和田の名前がコールされた瞬間に球場は大きく湧くことになりそうだ。そう予感させてくれるデビュー戦であった。
そんな和田は埼玉県の小川高校出身。とはいえ、高校時代は野球部ではなく陸上部に所属し、野球はクラブチームの都幾川倶楽部硬式野球団でプレーしていた異色の存在である。同校からNPBのドラフト指名を受けた初の選手でもあった。
さて、埼玉県の高校からNPB入りを果たした選手を見ると、やはり浦和学院高、花咲徳栄高が多い。その後に春日部共栄高、大宮東高などが続く。しかし小川高のように「ひとりだけ」ドラフト指名を受けている高校も多くある。
現役選手だと高梨雄平(楽天/川越東高)や松岡洸希(西武/桶川西高)、佐野泰雄(西武/和光高)、加藤翔平(ロッテ/春日部東高)、武藤祐太(飯能南高)らの母校がそうだ。
古くは広島で活躍した木下富雄を輩出した飯能南高、JFKの一角として阪神を支えた久保田智之も滑川高(現滑川総合高)唯一のドラフト指名選手である。
その他にもDeNAで中継ぎとして活躍した加賀繁の母校である埼玉平成高、2年連続で最優秀中継ぎに輝いたオリックスの佐藤達也を輩出した大宮武蔵野高もそうだ。少し特殊な例ではあるが、前ロッテの監督である伊東勤は所沢高出身唯一のNPBプレーヤーである。
このようにNPBへ有力選手を多く送り込んでいる強豪校以外からも、NPBプレーヤーは誕生しているのである。
現時点ではNPBプレーヤーをひとりだけしか輩出していない学校は、甲子園に出場するような学校ではなく全国的には無名の場合が多い。しかし、そういった学校の選手からもスター選手が生まれる可能性は多くある。それも野球のおもしろさのひとつかもしれない。
<NPBドラフトに1名だけ指名されている埼玉県の高校>
※2019年ドラフト終了時点
熊谷高
・佐々木保昌(熊谷高→1965年阪急13位)※入団拒否
春日部高
・木下富雄(春日部高→駒沢大→1973年広島1位)
大宮商
・鈴木博昭(大宮商高→三菱自動車川崎→1973年中日2位)
所沢高
・伊東勤(熊本工高→所沢高→西武練習生→1981年西武1位)
熊谷農高
・橋本敬司(熊谷農高→富士重工→1981年巨人4位)
栄東高(旧校名:埼玉栄東)
・中山雅行(埼玉栄東高→中央大→熊谷組→1993年ロッテ4位)
武蔵越生高(旧校名:越生)
・中川隆治(越生高→青山学院大→1994年近鉄2位)
秩父農工科学高(秩父農工と秩父東が統合)
・板倉康弘(秩父農工高→東農大生産学部→2001年オリックス12巡目)
滑川総合高(滑川と吉見が統合)
・久保田智之(滑川高→常磐大→2002年阪神5巡目)
狭山清陵高
・河野友軌(狭山清陵高→法政大→2002年横浜8巡目)
川口高
・小林憲幸(川口高→城西国際大中退→全浦和野球団→四国リーグ徳島→2007年ロッテ育成3位)
埼玉平成高
・加賀繁(埼玉平成高→上武大→住友金属鹿島→2009年横浜2位)
飯能南高
・武藤祐太(飯能南高→ホンダ→2010年中日3位)
秩父高
・黒沢翔太(秩父高→城西国際大→2010年ロッテ育成1位)
大宮武蔵野高
・佐藤達也(大宮武蔵野高→北海道東海大→ホンダ→2011年オリックス3位)
春日部東高
・加藤翔平(春日部東高→上武大→2012ロッテ年4位)
和光高
・佐野泰雄(和光高→平成国際大→2014年西武2位)
山村国際高
・堀内汰門(山村国際高→2014年ソフトバンク育成4位)
川口青陵高
・野川拓斗(川口青陵高→城西国際大→鷺宮製作所→2015年DeNA7位)
川越東高
・高梨雄平(川越東高→早稲田大→JX-ENEOS→2016年楽天9位)
小川高
・和田康士朗(小川高→富山GRNサンダーバーズ→2017年ロッテ育成1位)
桶川西高
・松岡洸希(桶川西高→埼玉武蔵ヒートベアーズ→2019年西武3位)
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