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沖縄水産、浦添商など沖縄県の高校野球をリードする伝統公立校たち

2020.05.24

沖縄水産、浦添商など沖縄県の高校野球をリードする伝統公立校たち | 高校野球ドットコム
春夏合わせて12回出場経験持つ沖縄水産

 沖縄県の高校野球は他の都道府県と比べ、歴史が浅い。甲子園に沖縄県の高校が初めて登場したのは1958年の第40回大会からだ。当時は沖縄県はアメリカの占領下にあったため、甲子園に出場するために、本土へ乗り入れる際にパスポートが必要だった。さらに持ち帰った甲子園の土は没収され、海に捨てられるなど、甲子園出場は苦労と共にあった。

 今回はそんな沖縄県の高校野球の歴史を彩ってきた伝統的な公立校を紹介する。

【沖縄県の魅力的な公立校】
首里
選手権:出場2回 選抜:出場2回 
沖縄水産
選手権:出場9回 選抜:出場3回
豊見城
選手権:出場3回 選抜:出場4回
浦添商
選手権:出場4回 選抜:出場1回
八重山商工
選手権:出場1回 選抜:出場1回

 首里高校は沖縄県で最初に甲子園に出場した高校だ。1958年の第40回大会に出場し、敦賀に惜しくも初戦で敗戦してしまったが、甲子園に沖縄県の高校が出場したことは歴史的な出来事となった。首里高ナインは甲子園の土を故郷に持ち帰ったが、アメリカの植物検疫法に抵触し、没収され、海に捨てられるという事案が発生した。この事案がきっかけの一つとなり、沖縄返還運動が一層盛り上がることになるなど、首里高校の沖縄県勢初の甲子園出場は社会的出来事となった。

 また、初出場の5年後の1963年には2度目の甲子園出場を果たし、2回戦で日大山形と対戦し、シーソーゲームを制し、沖縄県勢の甲子園初勝利を手にするなど、首里高校は沖縄県の歴史、高校野球に大きな影響を与える高校となった。

 沖縄水産は1980年代、1990年代に一世を風靡し、日本復帰を果たした沖縄県の長らくの悲願であった県勢の甲子園制覇に大きく近づいた高校で、故・裁弘義監督が率いて、1984年に甲子園初出場を果たすと、1988年まで5年連続で甲子園出場、初戦は全戦勝利した。1988年には準決勝に進出、さらに1990年、1991年には2年連続で準優勝を果たした。 1998年は、好投手新垣渚をはじめ有力選手がそろったことで全国制覇が期待されたが、春夏とも初戦敗退に終わり、結局、この年が栽監督にとっても、沖縄水産にとっても最後の甲子園出場となった。

 豊見城は1975年選抜で甲子園初出場すると、いきなりベスト8まで勝ち進む。さらに1976年から1978年まで3年連続で春夏の甲子園に出場、さらに夏の甲子園では3年連続でベスト8に進出するなど、1970年代の沖縄の高校野球を代表する存在となった。以降甲子園に出場することはできていないが、2016年春の県大会準優勝など、戦力は十分だ。

 浦添商は1993年に選手権に初出場すると、春夏連続出場した1997年夏の選手権で準決勝進出した。さらに2008年には伊波 翔悟山城 一樹を中心に関東一や慶應を破り、ベスト4に進出した。2012年にも甲子園に出場すると、宮里 泰悠照屋 光の二本柱を軸に日本代表にも選出された呉屋 良拓らの高い攻撃力を武器にベスト16に進出。惜しくも桐光学園松井裕樹照屋 光の本塁打による1得点に終わったが、甲子園に確かな足跡を残した。

 八重山商工は甲子園に出場したのは2006年の春夏の1度ずつのみだが、記憶に残る高校だ。具体的には日本最南端の高校の甲子園出場という話題性に加え、エースの大嶺祐太(千葉ロッテマリーンズ)や金城長靖の魅力的なプレー、さらに伊志嶺吉盛監督が少年野球の指導者の頃に大嶺らと出会い、そこから高校野球の指導者になり、大嶺らを甲子園まで導いたというエピソードなど話題性豊かなチームだった。

 さらに沖縄県には埼玉西武ライオンズ山川穂高の母校で、計2回の甲子園出場がある中部商や巨人・宮國椋丞神里和毅の母校である糸満など数々の実力校、伝統校がたくさんある。今後の沖縄県の高校野球からも目が離せない。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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