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メジャーリーガー・平野佳寿に、熱男・松田宣浩を輩出!83年世代ドラ1の現在地

2020.05.29

メジャーリーガー・平野佳寿に、熱男・松田宣浩を輩出!83年世代ドラ1の現在地 | 高校野球ドットコム
世代の中でも大きな存在感を見せる松田宣浩(ソフトバンク)

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒19年目、37歳を迎える83年世代だ。

1年目から活躍した選手が多数

 83年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒6人、高卒社会人4人、大卒7人、大卒社会人2人の計19人。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2001年ドラフト>
寺原隼人日南学園・福岡ダイエー・横浜・オリックス・福岡ソフトバンク・東京ヤクルト) 4球団競合
303試合 73勝81敗 23セーブ12ホールド 1205回 861奪三振 防御率3.88

朝井秀樹PL学園・大阪近鉄・東北楽天・読売) 単独指名
113試合 25勝33敗 4ホールド 492.2回 378奪三振 防御率4.09

大竹寛浦和学院・広島東洋・読売) 単独指名
343試合 101勝99敗 17セーブ9ホールド 1648.2回 1170奪三振 防御率3.79

秦裕二智辯学園・横浜) 外れ1位
89試合 9勝9敗 196.1回 105奪三振 防御率4.54

真田裕貴姫路工・読売・横浜・読売・兄弟・東京ヤクルト) 外れ1位
312試合 24勝28敗 3セーブ41ホールド 437.1回 240奪三振 防御率4.42

前田章宏中京大中京・中日) 外れ1位
54試合 0本塁打 1打点 打率.070

<2004年ドラフト>
金子千尋長野商・トヨタ自動車・オリックス・北海道日本ハム) 希望入団枠
342試合 128勝85敗 5セーブ7ホールド 1935.1回 1641奪三振 防御率2.97

野間口貴彦関西創価・創価大中退・シダックス・読売) 希望入団枠
111試合 13勝12敗 1セーブ9ホールド 232.1回 172奪三振 防御率4.57

岡崎太一智辯学園・松下電器・阪神) 希望入団枠
119試合 2本塁打 11打点 1盗塁 打率.185

<2005年ドラフト>
松永浩典海星・三菱重工長崎・西武) 希望入団枠
124試合 9勝8敗 1セーブ14ホールド 167.1回 118奪三振 防御率3.39

平野佳寿鳥羽・京都産業大・オリックス・ダイヤモンドバックス・マリナーズ) 希望入団枠
NPB 549試合 48勝69敗 156セーブ139ホールド 974.2回 884奪三振 防御率3.10
MLB 137試合 9勝8敗 4セーブ47ホールド 119.1回 120奪三振 防御率3.47

松田宣浩中京・亜細亜大・福岡ソフトバンク) 希望入団枠
1636試合 274本塁打 891打点 128盗塁 打率.270

武内晋一智辯和歌山・早稲田大・東京ヤクルト) 希望入団枠
786試合 22本塁打 110打点 4盗塁 打率.222

福田聡志伊都・東北福祉大・読売) 希望入団枠
151試合 22勝15敗 25ホールド 286回 205奪三振 防御率4.15

岩田稔大阪桐蔭・関西大・阪神) 希望入団枠
192試合 59勝80敗 1153回 836奪三振 防御率3.33

八木智哉日本航空・創価大・北海道日本ハム・オリックス・中日) 希望入団枠
112試合 39勝34敗 600.2回 361奪三振 防御率3.69

松崎伸吾光星学院・東北福祉大・東北楽天・阪神) 単独指名
43試合 2勝16敗 107.1回 69奪三振 防御率6.04

<2007年ドラフト>
小林太志富岡・立教大・JR東日本・横浜) 外れ1位
128試合 13勝23敗 1セーブ1ホールド 388.1回 227奪三振 防御率4.47

平野将光(浦和実業・平成国際大・JR東日本東北・埼玉西武) 外れ外れ1位
60試合 6勝13敗 1セーブ2ホールド 196.2回 115奪三振 防御率5.13

[page_break:高卒から大卒社会人まで1年目から活躍した選手が多かった83年世代]

現役生活を続けているのは1/3ほど

メジャーリーガー・平野佳寿に、熱男・松田宣浩を輩出!83年世代ドラ1の現在地 | 高校野球ドットコム
現在MLBの舞台で活躍する平野 佳寿(写真はオリックス時代)

 高卒組で最も結果を残しているのが、昨季通算100勝を達成した大竹寛だ。入団2年目に初勝利を挙げると、17年連続勝利を記録。4度の二桁勝利を記録するなど、主に先発として活躍。昨季は中継ぎに転向して好投を見せるなど、チームの優勝に貢献した。ルーキーイヤーから一軍で6勝を挙げた寺原隼人は、二度の二桁勝利を達成するなど通算で73勝をマーク。延べ5球団を渡り歩き、昨季ヤクルトで現役生活を終えた。

 高卒新人ながら先発登板し、6勝を挙げた真田裕貴。横浜時代の2009年には68試合に登板し、防御率2.98を記録するなど中継ぎでも輝きを放った。CPBLの兄弟エレファンツでは最優秀中継ぎに輝き、2013年にヤクルト、その後はBCリーグを経て2016年に選手生活を終えた。近鉄入団後3年間は未勝利だった朝井秀樹。2004年オフの分配ドラフトで東北楽天へ移籍すると、初勝利を含む2勝をマーク。2008年には自己最多の9勝を挙げる活躍を見せたが、その後は伸び悩み、巨人移籍後の2012年オフに現役を引退した。

 秦裕二は1年目に初勝利を挙げると、2006年には先発ローテーション入りを果たし自己最多の5勝をマーク。しかしその後は登板数が減少し、2011年に自由契約。BCリーグの富山でプレイし、2016年シーズン限りで引退した。9年目に待望の初ヒットを放った前田章宏。捕手として長くプレイしたが、2013年オフに戦力外通告を受けた。

 高卒社会人からは4人がプロ入りし、2人が現役を続けている。金子弌大はオリックス、北海道日本ハムで通算128勝を記録。これまでに数々のタイトルを獲得するなど、日本を代表する投手となった。通算2000投球回を目前に控えている。岡崎太一は智辯学園時代に秦裕二と、松下電器では久保康友と、二人のドラ1投手とバッテリーを組み、自身もドラ1入団を果たした。これまで119試合にとどまっているが、ベテラン捕手として今季もチームを支える働きが期待される。

 創価大を中退した野間口貴彦だったが、故・野村克也氏が監督を務めていたシダックスを経てプロ入り。ルーキーイヤーの5月に5回コールドながら初登板初完投勝利を挙げるなど、4勝をマーク。先発・中継ぎで13勝を挙げたが、右肘靭帯再建手術からの復帰は叶わず、2015年オフに現役を引退した。海星から三菱重工長崎へ進み、4年目で指名を受けた松永浩典は、1年目から先発機会を掴み3勝をマーク。3年目以降は中継ぎとして活躍し、2012年には56試合に登板。しかしその後左肩を故障し、2014年オフに戦力外通告を受けた。

 大卒組からは日本を代表する投手と野手を輩出した。1年目から先発ローテーションに定着した平野佳寿。4年目以降は中継ぎ投手として最多セーブ、最優秀中継ぎ投手などタイトルを獲得。2018年からはメジャーリーグに渡り、2年連続60試合以上に登板するなど、輝きを放っている。松田宣浩も1年目から62試合に出場し3本塁打を放つと、3年目にはレギュラーに定着。打撃タイトルこそ獲得していないが、ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞8度と球界を代表するスラッガーへと成長した。今季は通算300本塁打、1000打点の達成も視野に入れる。

 2年目までは苦しんだ岩田稔だったが、3年目に二桁勝利を挙げブレイク。その後も主に先発としてコンスタントに登板を重ね、通算59勝をマーク。自身がⅠ型糖尿病と闘っていることから、チャリティ活動にも精力的に取り組んでいる。智辯和歌山、早稲田大で活躍を見せてヤクルト入りした武内晋一。3年目までは順調に出場数を伸ばしたが、スタメン定着はならず。代打などで輝きを放ち、2018年限りで現役を引退した。

 1年目から先発ローテーションに定着した八木智哉。ノーヒットノーランこそならなかったが、延長10回を無安打無得点に抑える好投を見せるなど、この年12勝をマーク。オリックス、中日と渡り通算39勝を挙げ2017年限りで引退した。松崎伸吾はルーキーイヤーから10試合に登板したが、0勝8敗と苦しんだ。翌年初勝利を挙げるも通算2勝に終わり、現在は社会人野球のミキハウスでコーチを務める。松崎とともに東北福祉大からプロ入りした福田聡志。先発・中継ぎで22勝を挙げたが、2015年11月に失格選手となった。

 大卒社会人からは投手2人が指名を受けた。小林太志は1年目から31試合に登板し、6勝を挙げる活躍を見せる。将来のエース候補と期待されたが、その後は伸び悩み2014年オフに戦力外通告を受けた。2019年からは新球団の琉球ブルーオーシャンズで球団社長を務めている。ルーキーイヤーに初勝利を挙げた平野将光。3年目には自己最多4勝をマークしたが、故障などで登板数が減り、2015年限りで現役生活を終えた。

 改めて振り返ると、高卒から大卒社会人まで1年目から活躍した選手が多かった83年世代のドラ1選手たち。現役生活を続けているのは1/3ほどに減ってしまったが、まだまだ活躍を見せてくれそうな選手が揃う。彼らが40歳を超えても現役を続けていることを期待したい。

(取材:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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