一塁コンバートから始まった甲子園3試合連続本塁打。入江大生(明治大)が振り返る作新学院時代の思い出
10年連続ドラフト指名を受けている明治大。昨年は広島東洋1位・森下暢仁(大分商出身)、横浜DeNA3位・伊勢大夢(九州学院出身)が指名を受け、即戦力として期待をかけられている。そして今年、この2人に続くのが入江大生(作新学院出身)だ。
作新学院時代、今井 達也(現・埼玉西武)らとともに全国制覇を経験。夏の甲子園では今も破られない3試合連続ホームランの活躍が評価され、U18にも選出。アジア選手権制覇に貢献した。
前回は入江の野球人生の始まりから高校3年生の春まで聞いてきた。後編ではそこから夏の甲子園、そして現在までの話を中心に伺った。
前編はこちらから!
2016年甲子園優勝メンバー・入江大生(作新学院出身)を変えた3年春の県大会
逆襲の始まりとなった一塁コンバート
作新学院高校時代の入江大生)
3年生の春に作新学院のエースナンバーを背負って県大会に臨んだ入江。しかし、準々決勝で今市工に敗れベスト8止まり。この大会をきっかけにピッチャーからファーストへ転向しただけではなく、練習に対しても高い意識をもって取り組みだした。
甲子園3試合連続本塁打を放ち、歴史を残した入江の強打はこのコンバートから始まった。これまでバッティングはあまり自信を持っていなかった。周囲よりも遅れていた分を取り戻すべく、考えてスイングをしてきた。
「打撃練習中にはバットを上から出しながら、内側を通してスイングする。また、ボールの下半分を叩くように捉えて綺麗なスイング、理想な形で飛ばそうと意識していました」
入江の思い描く理想を体にしみこませるため、試合が終わってから鏡の前で素振りすることを日課にした。フォームを崩しにかかる相手投手と対戦するため、入江はこの練習を大事にしてきた。そこでスイングの軌道がどうなっているか、ここをチェックポイントにおいて練習してきた。
ミートポイントに対して無駄なく、最短距離でバットを出す軌道。そしてボールの捉え方を強く意識した入江。それが1つの結果となって表れたのが夏の甲子園だった。初戦の尽誠学園、続く3回戦・花咲徳栄。そして準々決勝・木更津総合と3戦連続ホームラン。この記録は甲子園記録タイとして残っている。
特に3本目は今年のドラフト注目左腕・早川隆久から1本を打っている。「まだ初回でしたので、『どうやって勝とうか』と考えていました。とにかくチームの勝利しか考えられなかった」というが、3戦連続ホームランを入江本人の中でどのように受け止めているのか。
「最短距離でバットを出せたのが大きかったと思います。けど今振り返ると、とんとん拍子でしたね。これといった深い感情はないんですが、ホームランを打った記念でもらえるボールが増えるのを確認して、『3本打ったんだ』と感じました」
[page_break:入江が振り返る小針監督と今井達也のエピソード]入江が振り返る小針監督と今井達也のエピソード
U18日本代表に選出された入江大生(明治大)
入江の活躍もあり、その年の作新学院は全国制覇を成し遂げた。「ロースコアの接戦で勝てた木更津総合で全員が一球に集中できた」ことが優勝へのターニングポイントだったと語るが、当時のメンバーたちとどう接していたのか。
「自分たちの代はメンバー関係なく凄く仲良かったです。けど試合だとなかなか繋がらないので、悩みました。けど小針崇宏監督が何度もミーティングをしてくれてまとまりました」
その小針監督は入江にとっては「兄貴という感じですかね」と語る。その理由は、選手と同じ目線に立つ姿勢に関係していた。
「とにかく熱い人なんです。選手と同じ目線になって考えてくれて、一緒に泣いてくれる。選手に近い監督言いますか、厳しいんですが優しさもそこにはあるんです。だから兄貴という感じです」
また優勝に大きく貢献したエース・今井達也(西武ライオンズ)投手はどんな高校生だったのか。入江の中では少し意外な印象だった。
「最初は『ほそっちいやつだ』と思いました。けどこれといった印象はなかったんですが、先輩たちがいる間に徐々に力を付けてきまして、自分たちの代になるとめちゃくちゃボールが速くなっていましたね」
その今井とともにU18にも選出されて、入江は日の丸を背負った。選ばれたことに驚いたが、「何をするにしてもいじられていましたが、メンバーはやんちゃというか面白いメンバーばかりでした」という全国のライバルたちと協力してアジア選手権を制した。
今回はここまで。最後は明治大入学後のエピソードや今年にかける決意に迫っていきます。お楽しみに!
(記事=田中 裕毅)
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◆前編はこちら⇒2016年甲子園優勝メンバー・入江大生(作新学院出身)を変えた3年春の県大会
◆【選手名鑑】入江 大生(作新学院)
◆【選手名鑑】今井 達也(作新学院)
◆甲子園出場経験者は約9割!春日部共栄・村田、愛産大三河・上田など明治大合格者14名は逸材揃い
◆U18代表の飯塚 脩人(習志野)を筆頭に今年の早稲田大スポーツ推薦合格者4名の顔ぶれが豪華すぎる!!