Column

明豊、大分商に一泡吹かせる注目校・楊志館。投手王国復権を予感させる注目の4投手

2020.04.17

 新型コロナウイルスの影響で史上初の中止となった選抜に、北海道や群馬。さらには大阪府らとともに2校同時に選抜出場校を輩出した大分県。選ばれたのは明豊大分商だったが、昨秋の九州大会決勝戦で対戦しており実力は九州トップであることは間違いない。

 今年の大分を牽引する二大勢力を破ろうと目論んでいるのが楊志館。福岡ソフトバンクホークスの甲斐拓也の母校で、昨秋の県大会16強に進出。2007年の夏の甲子園にも出場したことのあり、過去には「投手と言えば楊志館」と言われる時代があった。今回は県大会中止もあり、3月2日から4月8日まで活動自粛。その中でも、快く電話取材に応じていただき、注目投手を紹介していただいた。夏だけではなく、将来的に上のステージに立つ可能性を持った選手だけに覚えていきたい。

楊志館投手は全員タイプが違う個性派ぞろい!

明豊、大分商に一泡吹かせる注目校・楊志館。投手王国復権を予感させる注目の4投手 | 高校野球ドットコム
工藤慶祐投手

 まず昨年のチームからベンチに入っている藤野優弥。右の技巧派右腕で、身長は172センチ。体重も70キロ前後と決して大きな体ではないが、藤野本人も意識しているダイナミックな投球フォーム。さらに瞬発力を活かして切れ味の鋭いカーブ、スライダーを駆使する。

 その切れ味は、キャッチャーもなかなか取れず、監督を務める萩原田久生氏も「エグイです」と高い評価。大学野球を継続し、グラウンドに足を運ぶ先輩たちも藤野とキャッチボールをすると、「良いですね!」と太鼓判を押すボールを投げ込んでいる。オリックスのエース・山岡泰輔をイメージさせる藤野の性格に関しても「投手向きですね」と萩原監督は評価する右腕。旧チームからの経験者としてチームを牽引する活躍を見せる。

 そして藤野とともに旧チームを経験するのがサウスポーの工藤慶祐。左のスリークォーターで、ストレートは135キロ前後をマークする。チェンジアップを織り交ぜる緩急自在の左腕だが、最大の武器はフォームにある。

 工藤は球界で活躍された森福允彦嘉弥真新也を彷彿とさせる変則フォームを持っている。インステップ気味に右足を踏み出し、横の角度を十分に生かしつつ、緩急をつけるピッチングで相手打者に的を絞らせていない。「高いポテンシャルを持っている」と萩原監督も一目置いており、旧チームを知る左腕として注目が集まる。

 藤野、工藤は旧チームを知るが、一気に成長してきた注目株が2人の出来も明豊大分商を倒す鍵になっている。それが上野将成繁永翁甫の2人である。

明豊、大分商に一泡吹かせる注目校・楊志館。投手王国復権を予感させる注目の4投手 | 高校野球ドットコム
繁永翁甫投手

 上野は藤野や工藤にはないパワー系の投手。身長は184センチと高身長で、高さを活かした角度を付けた投球がストロングポイント。一冬かけて走り込みなどのトレーニングを通じて身体が出来上がり、持ち味の力強いボールに磨きがかかってきた。高さを活かして落差のあるフォークボールを混ぜた投球は、「1、2巡では捉えるのは難しいと思います」と萩原監督が期待を寄せる。

 そして楊志館の急成長株として切り札となりつつあるのが繁永。140キロ前後の速球を投げ込んでいたが、コントロールが不安定なところが課題だった。しかし、冬場のトレーニングを通じて体つくりから見直し始めたことで成長速度が上がる。

 投手コーチの実績もあった萩原監督の目に留まり、「これはチャンスだぞ。目にモノ見せてやれ」と発破をかけた。繁永はこの言葉で、チームの主戦力の投手まで成長。140キロ前後の速球を駆使する強気のパワーピッチングを主体に、動くボールを得意とするスタイルを武器に相手打者を圧倒する。

 藤野、工藤、上野、そして繁永の4人。他にもタイプが違う投手がいることを語る萩原監督。普段からポジションリーダーを中心に、選手たちの自主性を重んじて投手陣を育てている。球界を代表する名捕手・甲斐を育てた楊志館が、好投手集団として復活をすれば明豊大分商の二強に食い込んでいくのではないだろうか。

(文=田中 裕毅

関連記事
岡山学芸館が優勝するまで!粘り強い学芸館野球で全国での1勝をつかみ取る!
岡山学芸館(岡山)「走力と堅守を武器に、チャレンジャー精神で創部初の甲子園一勝を目指す!」
甲子園初勝利の岡山学芸館!サヨナラで勝利した広島商の試合を徹底レポート!【第101回選手権大会】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾は昨夏甲子園優勝バッテリーがスタメン!初回から4番・江戸 佑太郎の1発などで3点を先制!【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾が四国王者の高松商、英明に連勝!!<香川招待試合>

2024.06.08

昨年春夏甲子園出場・北陸の卒業生進路 エースは筑波大へ! 早速公式戦で上々のデビュー

2024.06.09

大阪桐蔭、敗れる! センバツ8強・阿南光の吉岡を攻略できず、エース平嶋は7回被安打10【徳島招待試合】

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.04

【東北】5日に抽選!秋春連覇がかかる青森山田、雪辱期す仙台育英と明桜の対戦相手に注目<地区大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得