Column

投手重視から野手重視へ?!過去10年間のドラフト1位のトレンドを見る

2019.11.06

 10月17日に行われた2019年プロ野球ドラフト会議では、総勢107名(支配下74名、育成33名)の選手たちが指名を受け、プロ野球への第一歩を踏み出した。今回は、過去10年間のドラフト1位選手のポジション別内訳を見ながら、トレンドの変化を見ていきたい。

投手重視から野手重視へと変わる傾向アリ?

投手重視から野手重視へ?!過去10年間のドラフト1位のトレンドを見る | 高校野球ドットコム
ドラフトで指名されたときの森友哉

 今年のドラフト1位選手は投手8名、内野手3名、外野手1名という内訳になったが、過去10年間のドラフト1位選手120名に目を移すとどのような割合なのか。

 結果としては、投手84名、捕手5名、内野手18名、外野手13名と、やはり投手が非常に多くなっている。平均すると、毎年8~9名の投手が指名されている計算になる。投手が多いのは10年間変わらないが、その割合は少しずつ変化しつつある。前半の5年間(2010~2014年)で44名(平均8.8名)から、後半の5年間(2015~2019年)では40名(平均8名)と約1名減少。

 今回の調査だけではこれが有意差であるとは言い切れないが、2018年ドラフトでは根尾昂小園海斗を筆頭に6名の野手が1位指名を受けた。これは高校生ドラフトを導入していた2005年の松田宣浩炭谷銀仁朗ら8名以来の数字である(ただしこの年は希望入団枠や高校生ドラフトも導入しており、希望枠+1巡目指名の合計は22名)。今年のドラフトでは8名と盛り返したが、来年以降どうなるか。

 また改めて見てみると、捕手の少なさが際立つ。10年間で指名を受けたのは5名のみで、村上宗隆は1年目から内野手へとコンバートしている。捕手というポジションの特異性から、選手数自体も多くはないが、その重要性から考えると低い数字と言えるだろう。

 「打てる捕手」が減ってきたと言われて久しいが、1990年代から2000年代には毎年のように「ドラ1捕手」が誕生していたことや、村上のように即戦力級の打撃を優先してすぐコンバートすることを考えると、近代の野球では打てる捕手の重要性が変化してきたのかもしれない。そういう意味では、6年目にしてガッチリと正捕手の座を掴んだ森友哉は、打てる捕手の価値を改めて示す存在と言える。

 野球界のトレンドというのは常に変化するものだ。以前は「野球は投手をはじめとした守備力」という考えが絶対的なものだったが、メジャーの考えが入ってきやすくなったり、打撃の重要性も見直されつつある。今は野手の重要性が認識され、各球団の編成にも取り入れられてきたのではないだろうか。

 もちろん、「ドラフト1位」のみで全てを語ることはできない。しかし、その年のドラフトで各球団が1番と認めた選手たちは、その象徴とも言える存在だ。今後も「ドラ1」から見える野球界のトレンドに注目だ。

(記事=林 龍也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.13

圧倒的馬力! 鹿児島実の151キロ右腕・井上 剣也の実力を徹底分析!ライバル・神村学園を翻弄する投球術を身に付けられるか?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.13

戦国千葉の組み合わせが決定!専大松戸のブロックに八千代松陰、市立柏ブロックに木更津総合、流通経済大柏と激戦ブロックが続出!【2024夏の甲子園】

2024.06.13

駒大苫小牧、北海道栄、苫小牧中央が同ブロック!この3校から南北海道大会に進めるのは1校だけ!【2024夏の甲子園】

2024.06.13

【北海道】北見支部の抽選は14日!遠軽と北見柏陽が軸<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.13

【群馬】14日に抽選会!センバツ王者・健大高崎が軸、ノーシード桐生第一にも注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【福島】いわき光洋、平工が勝利<春季支部選手権大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに