なぜ仙台育英は、スーパー1年生を起用しなかったのか?初戦敗退の裏に迫る
天理戦で先発した向坂優太郎(仙台育英)
11月16日に行われた明治神宮大会。第1試合では近畿大会王者の天理が、仙台育英を8対6で下して準決勝進出を決めた。
初戦で姿を消すことになった仙台育英だが、それでも収穫はある。
背番号1を初めて背負って先発マウンドに立った左腕の向坂優太郎は、強打の天理打線を相手に試合前半は4安打2失点と試合をしっかりと作って見せた。後半に入ると強打の天理打線につかまり、結果として7回途中7失点でマウンドを降りたが、それでも初の全国の舞台であったことを踏まえれば収穫と言える内容であった。
またリリーフでも、2番手では右サイドハンドの粕谷映斗や左腕の尾形史人、背番号10の阿部恋など、2年生の投手陣を起用して貴重な経験を積ませることが出来た。
「向坂はちょっと力んでしまいましたね。初めて1番を背負って頑張ろうと思ったところもあると思います。
2年生が頑張ってくれないと、1年生に頼ってるようでは日本一なんて夢のまた夢だよと言い続けてきました。よく投げてくれたと思いますけどね」(須江航監督)
今夏の全国高校野球選手権大会ベスト8に大きく貢献した、笹倉世那と伊藤樹は今回は登板はなく、伊藤はベンチにも入っていなかった。須江監督は、この大会で二人の登板が無かったのは、これまでの勤続疲労を考慮してのものだった明かす。
「笹倉も伊藤も1シーズン結構投げてきたので。春から全部(の大会でベンチに)入っているんです。冬場ではスケールを持ちながら、ある程度ゲームが作れるようなピッチングができるようにやっていきたいなと思います」
仙台育英には他にも、今大会で背番号11をつけた菅原天斗という140キロ中盤のストレートを投げることが出来る投手が控えており、その層は厚い。全国の舞台で控えの投手にも経験を積ませることができるのも仙台育英ならではだが、キメの細かい投手運用と選手の育成手法には目を見張るものがある。
来春、この試合で登板した投手の中から、笹倉、伊藤に次ぐ柱となる投手は現れるのは注目だ。
(記事=栗崎 祐太朗)
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