花咲徳栄vs拓大紅陵
好投手・竹内を打ち砕いた花咲徳栄打線 11得点7回コールドで準々決勝へ
先制のタイムリースリーベースを放った之井上朋也(花咲徳栄)
この夏、5年連続の甲子園出場を果たした花咲徳栄。今や埼玉県のトップに君臨していると言っても過言ではないが、新チームも全国トップクラスの打撃力を有している。
秋季関東地区大会1回戦の拓大紅陵との試合でも、その実力を遺憾なく発揮した。
まずは初回、一死二、三塁から4番・井上朋也がセンターオーバーのタイムリースリーベースを放って2点を先制すると、なおも一死三塁から5番・中井大我もタイムリーヒットを放ってさらに1点を追加する。
その後さらに1点を追加し、初回だけで4点を奪った花咲徳栄は、2回にも2本のタイムリーでさらに3点を追加。序盤で拓大紅陵を一気に突き放し、試合の主導権を握った。
投げては先発の高森陽生が6回途中までノーヒットピッチングを展開し、拓大紅陵打線に隙を与えない。
左オーバーハンドの高森の魅力は、フォームのバランスが良いところだ。バックスイングを取る際に左肩がやや大きく下がるが、メカニズムに問題はなく下半身主導の安定したフォームでボールを投げ込む。フォームが良いため制球力も良く、安定したピッチングができるのだ。
花咲徳栄はその後も追加点を重ね、結局試合は7回コールドの11対1でゲームセット。花咲徳栄が強打で準々決勝進出を果たした。
拓大紅陵のエース・竹内将悟
一方、敗れた拓大紅陵はエースの竹内将悟の不調が響いた。
秋季千葉県大会では専大松戸を完封しているように、非常にキレのある直球が持ち味の好投手であるが、この試合ではストレートの走りは今一つで、配球もストレートの一本調子であった。
甘く入ったストレートを簡単に弾き返される場面が目立ち、早々に主導権を握られる形となった。
もう少し緩急をつけたピッチングをすることが、今後の課題になってくるだろう。現在は緩い変化球だとチェンジアップを投げているが、カーブなどカウントを取れるボールが増えてくれば、ピッチングにもメリハリが出てきて楽に組み立てることが出来るだろう。
また打線も6回途中までノーヒットであったが、工夫がなく打ち取られる場面が多かった。打者一人ひとりがもう少し粘りや揺さぶりの意識を持てばまた違った結果になったかもしれない。これが春までの課題となるだろう。
実力のあるエースはいるだけに、春こそは関東での上位進出に繋げたい。
(文・=栗崎 祐太朗)