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筑波大は選手1人1人にあった球数制限を導入して重大な怪我を防ぐ 筑波大・川村卓監督が指導者へメッセージvol.2

2019.09.11

 vol.1では筑波大学の川村卓監督が、大学野球における投手たちの現状を明かしてくれた。今回のvol.2では筑波大学が所属している首都大学野球リーグで導入されている球数制限制度を中心に話を深掘りしていった。

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大学野球に進んだ投手で故障の経験がない投手はほとんどいない 川村卓監督(筑波大)が現状を語る vol.1

筑波大は選手1人1人にあった球数制限を導入して重大な怪我を防ぐ

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川村卓監督

 筑波大が所属する首都大学連盟では2018年から球数制限が設けられており、以下のようなガイドラインとなっている。

【投球数ガイドライン】*罰則規定は設けない
1. 先発 1 戦目は投球数制限をしない
2. 2 戦目は前日 121 球以上投げた場合は、翌日 50 球までとする。
但し投球中に 50 球を超えた場合はイニング終了まで可とする。
3. 1戦目で 120 球以下の場合は連投を妨げない。
4. 雨天で 1 日あけた場合は、制限を設けない

このガイドラインが始まった経緯について川村監督は

川村監督(以下 川村) やはり、うちのリーグは他の連盟に先駆けて、選手を守る意味で、選手ファーストとして始めたんです。ひじや肩を守るためか、というのではなくて、うちの大学は月曜日に授業があるので練習はしないんです。土日しかやらない。それは選手が授業を受ける権利を侵さないようにするためで、そういった選手ファーストの一環として(球数制限は)やっています。

 それを機に、「選手をどう守るか」の科学的な意識が高まった。

川村 そうですね。うちのリーグを見ていただければわかるんですが、昔のように先発が連投するということはなくて、ガイドラインや罰則はないけれども意識をするようになったのが大きいかなと。

 ガイドラインで投手を守る意識がリーグ全体で高まり、投手のけがは減っていると実感する。

川村 ただ先ほど言いましたように、大学に来てから怪我をするというよりは、高校時代のけがを治してから、という発想の方が大きいんですよ。それに2年までを費やす、ということが結構ありますね。

[page_break:勝つことと球数に気遣う事の判断の難しさ]

勝つことと球数に気遣う事の判断の難しさ

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川村卓監督

 つまり高校まで活躍していた投手が入学してきて期待を膨らませてみたものの、実は怪我していたということが多くあった。

川村 結構多くて、無事な子の方が少ない。これに関しては色々な要因があると思いますが、うちは公立の進学校から入ってくることが多いんですが、そういう学生の方が結構投げてるんですよ、実は。私学の方が投手がたくさんいますし、そういう子の負担は少なくて。ですので、公立の方が投手が少ないので1人が多く投げてるんだと思いますね。

 今年2年生ながら大学日本代表入りした佐藤隼輔投手について、球数制限を設けて投げていたが、投手によって球数を制限している。

川村 うちの野球部はピッチャーによって決めてます。特にいいピッチャーでも体が細いと7,80球が限度かなと、オープン戦などで気付いたんですね。そうなると、これ以上は投げさせないようにしようと。そういう使い方をしてました。

 ただ難しいのが、左腕・加藤三範(花巻東出身)が怪我をしたのですが、彼の場合、球数は多くなかったんですが連投があったんですね。なのでそれが負担になったのかなと。やはり勝つことと球数に気遣う事を天秤にかけるのは難しいです…
 大学に来ている時点で故障を持っている子が多いわけですから、そういう子たちの故障をこれ以上ひどくせず治して、マウンドに上げる。そこは一番難しいところだと思います。

 そのため、今は医学が発達していますので、医学的な事も取り入れながら、けがをしないように、球速を上げるために、模索している感じですね。

 そのため投手に対しては、痛いと感じたらすぐに申告させるようにしている。

川村 そうですね。若い学年から球数を申告させて管理しているので、学生コーチの方から止めると思います。もう少し強度を下げてください、とか。
 特に1年生は力を入れて投げようとするので、故障するリスクが高い。最初の方は回復期なので、あまり無理をさせないであげるのが基本ですね。ブルペン含めても30球ぐらいしか投げないんじゃないですか。

 vol.2はここまでで。次回は医療の視点から球数制限の問題を川村監督独自の切り口で考え、語ってもらいました。vol.3もお楽しみに。

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取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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