寺原隼人から始まった好投手王国 宮崎県
左から武田翔太、山本 由伸、戸郷 翔征
東京ヤクルト・寺原隼人が現役引退を表明した。日南学園時代、甲子園で当時最速となる154キロを計測。MLBのスカウトでは158キロを計測し、高校時代の寺原は将来的に160キロを狙えると思わせるポテンシャルの高さを見せ、プロ・アマ合同で出場した第34回IBAFワールドカップに高校生ながら選出されるなど、今では考えられないほど当時の寺原は飛び級の活躍を見せていた。
ただプロ入り後は肩の故障やスピード重視の投球が通用しないとみて、制球力重視のピッチングに転換。現役ラストイヤーとなった今年は140キロ中盤の速球、ツーシームなどボールを動かして勝負する技巧派右腕にモデルチェンジしていた。速球投手として、注目されながらもうまくモデルチェンジに成功し、17年プレー。プロ通算73勝81敗23セーブ12ホールドと、先発・中継ぎ・抑えと活躍を見せた寺原は十分に成功者といえるだろう。
この寺原の存在によって、少しずつ宮崎県の投手のレベルが高まったといってもいい。特に2007年からほぼ毎年のように好投手が出てきた。
2007年 田原誠次(聖心ウルスラ-三菱自動車倉敷オーシャンズ-巨人)222試合 12勝7敗 35ホールド
2008年 赤川克紀(宮崎商-元東京ヤクルト)14勝20敗
有馬翔(日南学園-元楽天)3試合
中崎雄太(日南学園‐元西武)15試合
2009年 新西 貴利(都城商)
鍛冶屋 蓮(福島-JR九州-福岡ソフトバンク)105試合7勝4敗37ホールド
信樂晃史(日南学園-元千葉ロッテ)
2010年 中崎翔太(日南学園-広島)354試合18勝27敗115セーブ66ホールド
浜田智博(宮崎工-中日)1試合
2011年 武田翔太(宮崎日大-ソフトバンク)157試合57勝38敗
吉田 奈緒貴(宮崎商-JR九州)
2012年 長友 宥樹(宮崎工-西部ガス)
2013年 ケムナ・ブラッド・誠(日南-日本文理大-広島東洋)1試合
2014年 横川 楓薫(日南学園-Honda熊本)
2015年 杉尾 剛史(宮崎日大-宮崎産業経営大)
横山 楓(宮崎学園‐國學院大)
2016年 山本 由伸(都城-オリックス)77試合12勝8敗1セーブ32ホールド
2017年 森 遼大朗(都城商-千葉ロッテ)
2018年 戸郷 翔征(聖心ウルスラ-巨人)
源 隆馬(宮崎学園‐國學院大)
2009年の新西は甲子園ベスト8に導いた好投手。140キロ中盤の速球、切れのある変化球を投げ込む右の本格派で、日本代表入りを果たしている。2012年は西部ガスで活躍している左腕・長友。2013年は甲子園準優勝に貢献した奈須怜斗、横瀬貴広の2枚看板も好投手だった。2014年を除くと高卒、大卒、社会人を経てプロ入りしている。
今年も甲子園出場の富島のエース・黒木拓馬は宮崎大会で42回を投げて無失点の好投を見せた右の好投手。宮崎第一の川島 隆志も最速146キロ左腕として注目され、来年も146キロ右腕・有馬 太玖登(都城東)が注目されている。
甲子園で活躍した寺原は宮崎県の投手たちの憧れになった。その後も好投手から次々と生まれるサイクルとなっている。好投手輩出県となった象徴である寺原は宮崎野球人のパイオニアとしてこれからも受け継がれる投手だろう。