甲子園初アーチはバックスクリーン弾 武岡龍世(八戸学院光星)の復活の過程
バックスクリーン弾を放った武岡龍世(八戸学院光星)
智辯学園に逆転勝利を収めた八戸学院光星。その八戸学院光星を引っ張るのが武岡龍世だ。智辯学園戦では[stadium]甲子園[/stadium]第1号本塁打を放った。そんな武岡のここまでの活躍の軌跡を振り返る。
[stadium]甲子園[/stadium]2試合で11打数5安打1本塁打3打点と活躍を見せている武岡だが、夏までは不調に苦しんでいた。思うような打球が打てない。復調のきっかけとなったのは、先輩のアドバイスだ。仲井監督曰く「ヘッドの返しが早いスイングになっていて、それがなかなか改善できなかったのですが、それでうまくいったんです」と、青森大会では17打数10安打、打率.588と大当たり。自信をつけて甲子園に臨んだのだ。
初戦では誉バッテリーの内角攻めに対して、武岡は崩れることなく、特に第4打席は内角球を振りぬいてセンターの頭を超える適時三塁打を放った。武岡は「右サイドは結構得意にしていて、マークされているのはわかっているので、内角はうまく振りぬけてよかったです」と笑顔を見せた。
そして、初戦を終えて「ようやく自分の打撃ができるようになりました」と手ごたえを感じていた武岡。その言葉は本当だった。
続く2回戦、3回表の第2打席。少し真ん中よりの138キロストレートだった。武岡にとって読み通りの球種・コースだった。
「1ストライク1ボールで、この場面はカウントを取りに行く場面だと思ったので、狙い通り振りぬくことができました」
打球は右中間スタンドへ打ち込むソロ本塁打。公式戦の本塁打は神宮大会の東邦戦以来となり、高校通算23本塁打に乗せた。
一方、守備でも2回戦こそ、跳ねやすいグラウンドに苦労したが、1回戦から安定した守備を見せている。武岡の守備は正面で捕るように見せるスタイルだ。最近はシングルハンド、逆シングルで捕球するのが流行りとなっているが、武岡は正面で捕球する。それは必ずそういうふうにしているのではなく、正面で捕球できるようなポジショニングをしているからだ。
「捕手がサインを出した瞬間にここに来そうだなと思ったら、3,4歩動きます。それで正面で捕れるようになっています。少し遅れれば、シングルハンド、逆シングルと捕球していきます」
また智辯学園戦は、武岡にとって特別な試合でもあった。それは中学時代、カル・リプケン少年野球世界大会日本代表でともにプレーした坂下翔馬が智辯学園におり、再会に燃えていたからだ。当時は坂下がショートで、武岡はライトだった。それだけに負けられない試合だった。試合後、坂下から「日本一になってこいよ」と激励を受けてきた武岡。センバツ後、振り込む時間を多くして、誰よりも振ってきた自負がある。
試合後、笑顔で誰でも気さくにふるまう人柄はスターの証拠。武岡龍世の本領発揮はこれからだろう。
(記事=河嶋 宗一)
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■第101回全国高等学校野球選手権大会