試合レポート

日大藤沢vs横浜隼人

2019.07.17

死闘を制したのは日大藤沢!エースの武富の力投に打線が応え、サヨナラ勝ち!

 3回戦で激突した日大藤沢vs横浜隼人の一戦。注目カードということもあり、内野席が約3000人しかない[stadium]俣野公園野球場(俣野公園横浜薬大スタジアム)[/stadium]は超満員となった。
この春までの横浜隼人の課題は得点力。初戦の大磯戦でも4対0とあまり点を挙げることができていない。今回対戦する日大藤沢のエース・武富陸は最速142キロの速球に加え、切れ味鋭い変化球を武器にする県内屈指の左腕だ。かなり強力な相手だが、春よりも成長した姿を見せてくれた。

 前半、武富陸の前に4回までパーフェクトに抑え込まれる横浜隼人打線。この日の武富はスピードを抑えた投球。とはいえ、常時130キロ~138キロ(最速140キロ)の速球は回転数が高く、両サイドにズバリと決まり、さらに120キロ前半のスライダー、120キロ前半のスクリュー系の変化球、カーブが低めに決まり、また要所で高めに力のあるストレートを投げ込み、全く手の打ちようがなかった。

 だが5回表、ついに粘りを見せる。一死一塁から6番広瀬はストレートを打って左前安打、7番塩澤歩武(3年)は右前安打で1点先制!なおも送球間で二、三塁。8番高橋もスクイズを決め、2点を追加する。

 エース・佐藤一磨は5回1失点の力投を見せると、6回裏から加藤大(2年)がマウンドに登る。加藤は体を沈み込ませて頭が突っ込む独特の投球フォーム。初戦では140キロ台を計測したようだが、この日は常時135キロ前後(最速136キロ)とあまり走っていない。ストレート中心の配球で勝負するが、6回裏、筒井颯太(3年)の適時打で同点に追いつかれてしまう。


 7回表、横浜隼人は二死から高橋陸(3年)の左中間を破る適時二塁打で勝ち越しに成功したかと思えたが、8回裏、3番石川 喜隆(3年)が高めのストレートを捉え、同点本塁打。そして9回裏、日大藤沢は二死二塁から1番・牧原巧汰(2年)が詰まりながらも中前安打。二塁走者はサヨナラを目指し、本塁に突っ込むが、センター・蛭間颯太(3年)がダイレクト返球。アウトとなり、延長戦へ。この瞬間、スタンドのボルテージは最高潮に達した。

 延長10回裏、エース・佐藤が再登板を果たしたが、一死から3番石川が中前安打。石川はこれで猛打賞。春の大会から身体能力が高い外野手だと思っていたが、パワフルなスイングをしていて、速球に対する対応力も高い。面白い野手だといえる。その後、一死一、二塁から5番菊地隼輔(2年)は138キロのストレートを打ち返し、左中間を破る二塁打となり、サヨナラ勝ちで日大藤沢が4回戦進出を決めた。

 まさに死闘と呼ぶべき熱戦だった。横浜隼人も春より成長した姿を見せ、エース武富からタイムリーとスクイズを絡めて3得点を取った内容は評価できるものだ。

 日大藤沢も春先に比べて試合内容が格段に良くなった。何よりエースの武富が終盤まで投球のクオリティが落ちなかったこと。9回、10回と138キロのストレートがコーナーに決まったときは唸らされるものがあった。

 激戦を制した日大藤沢はさらに勢いをつけた戦いができるか。今後も見逃せない。

(文=河嶋 宗一)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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