熊本工業における唯一のNPB現役プレーヤー山口翔
5月30日、首位を走る広島にまたひとり新星が誕生した。高卒2年目の山口翔である。一軍デビューを果たしてから、ここまで3試合に登板していたがすべて中継ぎ。この日が初の先発マウンドだった。
140キロ台後半のストレート、カーブ、スライダー、フォークと持ち玉は極めてオーソドックスの本格派。しかし、ヤクルト打線に的を絞らせず7回2死から同郷の村上宗隆に安打を許すまでノーヒットピッチングを披露した。結局、7回無失点、被安打1、奪三振8、与四球1とほぼ完璧な初先発だったと言えるだろう。
翌日に登録を抹消されなかったことからもわかるとおり、今後も一軍に帯同し先発起用もありそうだ。
川上哲治、前田智徳らを輩出
熊本工業時代の山口翔
そんな山口は名門・[team]熊本工[/team]業高校出身である。高校時代は3年時に選抜高校野球大会に出場。1回戦で智辯学園高校に敗れている。全国大会での実績はこの1度のみ。しかし、制球にばらつきはあるものの、最速150キロを超えるストレートが注目されていた好素材である。ドラフト2位で指名されたことからも評価の高さはよくわかる。
熊本工業高校は川上哲治、伊東勤、山森雅文、緒方耕一、前田智徳、荒木雅博など数々の名選手を輩出してきた。しかし、NPBで現役としてプレーしているのは山口ただひとり。後輩がドラフト指名されるまでは、名門校の看板をひとりで背負っていくことになる。
また、これまでNPBで活躍してきたOBたちの名前を見ても、同校OBは野手のほうが好成績を残している。投手では楽天などで109試合に登板した松本輝、ロッテと横浜で通算93試合に登板している永野吉成の名前が挙がるくらい。錚々たる野手のメンバーと比べてしまうと見劣りしてしまう。
山口には熊本工業高校の歴史をつなぎ、そして投手として実績を残すことができるだろうか。
【熊本工業高校・主なOB】
<野手>
川上哲治(巨人)
吉原正喜(巨人)
後藤次男(大阪)
伊東勤(西武)
緒方耕一(巨人)
井上真二(巨人)
山森雅文(オリックス)
前田智徳(広島)
荒木雅博(中日)
藤村大介(巨人)
<投手>
永野吉成(横浜)
松本輝(楽天)
山口翔(広島)※
※は現役
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文=勝田聡