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令和最初の戦国千葉を制するのは?専大松戸、佐倉ブロックが熾烈!【前編】

2019.06.20

 6月19日、千葉大会の組み合わせが決まった。毎年、激戦が展開され、戦国千葉と評される千葉大会。そんな今大会の見所を2回に分けて紹介したい。まずはトーナメントの左側から。特に厳しいブロックとなったのはどこだろうか。

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第101回 全国高等学校野球選手権 千葉大会

銚子商、千葉黎明を追う実力校は?

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高校通算10本塁打の古井敬人(銚子商)

 銚子商成田北佐倉東の勝者と対戦。銚子商は2013年から2016年まで初戦敗退という悔しい時期を乗り越え、2017年から2年連続でベスト16と一時期の低迷を脱した。

 今年は高校通算10本塁打の古井敬人、攻守でセンス抜群の2年生ショートの常世田 翔太桐生第一との練習試合で2打席連続弾を放つなど、長打力を伸ばしつつ有る。この2人を軸に畳み掛ける打撃は驚異だ。投手では打力が高く、粘っこい投球を見せる菅谷圭一郎、125キロ前後ながら切れのあるストレートで次々と空振りを奪う向後勇太、一塁手を兼任し、制球力の高さが光る右腕・角田大乗、速球派右腕・宮内陸(2年)を中心に逃げ切る。春で課題となった守備力、細かい駆け引きを強化し、夏でも優勝争いに食い込む。

 このブロックで脅威となりそうなのが昨夏の西千葉大会でベスト8入りした西武台千葉だろう。一次予選敗退となったが、俊足巧打の三塁手・小谷竜輝(2年)、強肩捕手・奈良岡誠也、パンチ力のある大型捕手・山本肯志郎と、野手に人材が揃う。夏まで投手が整備されると、シード校を苦しめる存在となるだろう。また多古vs東総工の第6ブロック地区同士の対決も注目だ。

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スライダーの魔術師・綾部郁海(我孫子)

 Cシードの千葉黎明君津商千葉東の勝者と対戦。千葉黎明は総合力が高く、投打ともにバラエティに富んだ選手がいるのが特徴。投手陣では下級生の時から経験を積んできた左腕・伊藤真樹、2年生左腕・千葉汐凱は130キロ中盤の速球を投げ込み、スラッガータイプの北川泰也、重心を深く下げた構えから安打を連発する二出川駿などミート力が高い選手が多い。守備力も高く、やはり夏でも上位進出に期待がかかる。

 春ベスト16の君津磯辺稲毛の勝者と対戦。このブロックは私立、公立ともに実力が均一しており、どこが勝ち上がってもおかしくない。その中でも選手のポテンシャルの高さでいえば、市原中央が面白い。県大会初戦で敗退したが、1年夏から経験する本格派右腕・入口翔太、左腕・伊藤駿介と、正捕手・小関寛太の2年生トリオに注目が集まる。千葉商は遊撃手・宮澤慧、巧打者・内藤 颯太と能力が高い打者が上位に名を連ねており、投手力が強化できると、上位進出が期待できそう。このブロックは突出した力を持つ学校はないだけに、勝ち進んでもおかしくない実力を持っている。

 シードの千葉学芸はエース・小芝永久(2年)、1年生ながら4番を打つ有薗直輝と投打の中心が若く、春に見せた勢いを持続し、夏も大暴れを見せたい。同ブロックの注目は好投手・綾部郁海擁する我孫子。綾部は140キロ近い速球に加え、縦横に鋭く切れる2種類のスライダーを巧みに扱うスライダーの魔術師。さらに冬場のウエイトトレーニング、半年間、選手に対してノックを打ち続けたことが功を奏し、スラッガーと呼べるだけの長打力を身につけた。綾部以外にも打撃力が高い選手が多く、シード校からすれば嫌なチームだ。

 また、一次予選敗退の千葉経大附は元プロの森監督、今年、センバツ出場した山梨学院で部長としてチームを携わった松崎部長のコンビで立て直し中。巧打のセンター・高部 裕也、本格派右腕・安藤 隼斗とポテンシャルの高い選手は揃っているだけに、まずは攻守の完成度を高め、復活を遂げたい。

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千葉明徳、専大松戸、佐倉ブロックは強豪校が揃う

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本格派左腕・齋藤 正貴(佐倉)

 Bシードの千葉明徳佐倉南松戸六実の勝者と対戦。例年、逸材が多い千葉明徳だが、投打の充実度でいえば、近年でも、上位に入るものがある。エース・山越健司は、右サイドから130キロ後半の速球、スライダー、シンカーを投げ分け、県内屈指の好投手。山越以外にも130キロ超えの右腕を3人揃えており、山越を含めた投手陣が上手く機能すると、タイトなスケジュールの千葉大会を勝ち抜く上で、大きな強みとなりそう。打線では強打の捕手・福井 玲央長嶋悠司のスラッガーを含め、下位まで本塁打を打てる選手が揃う。ただ春の大会では爆発せず終わった。投打が機能すると、優勝争いに加わる予感をさせるチームだ。

 佐倉南は春の県大会で6点ビハインドをひっくり返して逆転勝利したように、打力の高さが魅力だ。大型遊撃手・持田 玖仁のレベルアップに期待だ。

 粘り強い試合運びで二季連続のベスト16入りの佐倉は春の県大会同様、継投策が重要となるが、エース左腕・齋藤 正貴が強豪校を圧倒できる実力を身につけることができるか。再現性の高い投球フォーム、切れのある130キロ前半の速球、切れのあるスライダーと、強豪校を苦しめる武器は十分備えている。ただ初戦は流通経済大柏と千葉小見川の勝者と厳しい戦いになることが予想される。流通経済大柏は下級生から活躍を見せている安永 祥晟、強打のトップバッター・下田守と強力打線が魅力。さらに同ブロックでは注目校、注目選手が多く並ぶ。その中で怖いのは市立柏だろう。

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エース・横山陸人(専大松戸)

 スラッガー・浦邉 悠揮、俊足巧打のセンター・倉島 京佑、速球、変化球への対応力も高い右の巧打者・五十嵐 尉と野手のタレント度の高さは県内屈指。秋は習志野に9回までリードしており、そして春では木更津総合相手に5回までリードしていた。今大会の鍵を握るチームになるかもしれない。好投手育成に定評のある横芝敬愛は今年も好投手が育った。左腕・大木 稔貴はストレートの球速が最速139キロまで伸び、さらに右打者の懐をえぐるスライダーの切れ味も抜群。175センチ82キロとがっしり体型だが、投球は器用。最後の夏でブレイクなるか。

 好投手・本宮 恒輝擁する千葉敬愛市原八千代東の勝者と対戦。さらに打力が高い志学館、強打の三塁手・安本 倭がチームを引っ張る我孫子東も面白い。

 今大会優勝候補として期待される専大松戸日体大柏二松学舎柏の勝者と対戦。日体大柏は140キロを超える2年生右腕・箱山優など2年生に好選手が揃う。専大松戸はエース・横山陸人、4番・丹呉 響平の投打の柱がノーシードの強豪校を寄せ付けない活躍を見せていきたい。初戦から厳しい戦いが予想されるが、勝ち進んでいくごとにこのチームは戦力層の厚さを存分に見せつけて勝つチーム。投手では140キロを超える杉田智也、左腕・西村卓真、打線では丹後以外では強肩巧打の捕手・間中堅、1年生スラッガー・吉岡道泰と、投打の総合力では千葉県ナンバーワンだ。あとは習志野の飯塚を打ち崩す打撃力、対応力を夏まで身につけるだけではないだろうか。

 このブロックでは千葉県ナンバーワンショート・長岡秀樹がチームを引っ張る八千代松陰、遊撃手の長田篤弥を中心に組織力の高いプレーを見せる船橋二和、好投手・佐橋 稔也擁する幕張総合と、実力校が多く、激戦が予想される。

文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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