埼玉県屈指の本格派左腕・米山魁乙(昌平) スピードガンでは測れない圧力あるストレートは必見!
今年の埼玉県を代表する左腕の1人として注目を浴びている米山魁乙(昌平)。昨夏は2年生ながらエースとして春日部共栄を破るなど4強入りに導いた快速左腕だ。
176センチ77キロと恵まれた体格から投げ込むストレートは130キロ後半ながら球速表示以上に威力を感じさせるストレートが最大の魅力。県大会では唸りを上げる米山のストレートに驚く方も多いかもしれない。そんな米山の今年初登板となった三郷北戦から掘り下げていきたい。
花咲徳栄戦の負けをしっかりと活かして
米山魁乙
久々の公式戦登板だと振り返った米山。投球練習から全力投球。明らかにストレートの勢いが違う。ミットを飛ばすかのような勢いがあった。
「今日は久しぶりの登板でしたので、全力で投げていきました」と米山。常時133キロ~138キロのストレートと、140キロを計測したボールは1球もない。だが、鋭い腕の振りから繰り出すストレートは球速表示以上のものを感じさせる。なんと変化球を一切投げず、ストレート1本で2回を投げて2奪三振。ジャストミートはさせない圧巻のピッチングだった。
試合後、米山は「もっと出ている感じはしました」というが、スピードを測っていた筆者もそう思っている。この春から筆者は130キロ後半から140台を計測した右腕や左腕を見てきたが、左腕に関しては及川雅貴(横浜)、宮城大弥(興南)に負けないものがあり、大学生や社会人の左腕と比較しても、それほど劣っていないように感じた。それぐらい米山のストレートには圧力があったのだ。
ボールを受けた佐藤克樹捕手は「本当に球速表示以上を感じさせるストレートで、回転数の高さも感じました」
ではどうしてそんなストレートを投げることができるのか?それは高校2年時の5月の投球練習がきっかけだ。
「僕は踏み出す時、踵から着地するのですが、踵からつま先に踏み出す時に、リリースですべての力を集約させるイメージですね。その感覚をつかんでから一気にボールが変わってきました」
確かに投球フォームを見ると、セットポジションから始動し、右足をゆったりと上げてから、バランスよくたち、右足の膝を少しずつ伸ばしてから踵から着地を行い、テークバックを取ったとき、しっかりと胸を張って、勢いよく腕を振っていく中で、しっかりと指先に力が伝わった投球フォームをしていて土台の良さを感じさせる。
米山魁乙
その破壊力あるストレートを武器に北埼玉大会ではベスト4進出。秋でも躍進に期待がかかったが、地区予選代表決定戦で花咲徳栄と対戦し、7回コールド負けを喫した。
「埼玉大会で左手を骨折したのが治り切っていないのはあったのですが、それでも甘いコースをしっかりとヒットにする打撃をみて、本当にすごいなと思いました」
冬場は2日に1回のペースでウエイトトレーニングをしながら体を作り直したが、日々のピッチング練習ではもう一度、コントロールを見直した。
「内外角、低めへしっかりと投げ分ける練習をしてきました。コントロールをもう一度見直してきました」
今回は久しぶりの公式戦登板でオールストレートを投げ込んだ米山。本来はスライダー、カーブ、チェンジアップを投げる。
県大会ではさらに調子を上げた状態で臨みたい米山。この春も埼玉県営を沸かせる投球を見せることはできるのか。埼玉屈指の快速左腕のピッチングに注目だ。
文=河嶋 宗一