Interview

「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」での正しいグラブのお手入れ方法 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【後編】

2019.04.11

 2019年、ZETT社はプレーヤーの大切な相棒を長持ちさせるグラブ・ミットメンテナンスグッズ、「プロステイタスシリーズ」と「革、命。(かわ、いのち。)シリーズ」の2シリーズを発売した。「汚れ落とし」「保革」「滑り止め・つや出し」「硬化」「トータルメンテナンス」など、用途を明確にしたこの2つのシリーズは、球児にとってより分かりやすく、使いやすい製品となった。

 この2シリーズの開発を担当したのは、ゼット株式会社ベースボール事業部開発部の鶴田昌博氏だ。後編の今回は、いよいよ「プロステイタスシリーズ」と「革、命。(かわ、いのち。)シリーズ」開発に至るまでの経緯や、製品特徴を鶴田氏に解説していただいた。

◆ZETT「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」の開発に至るまで 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【前編】

一貫性のない商品構成に苦戦

「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」での正しいグラブのお手入れ方法 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【後編】 | 高校野球ドットコム
「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」の開発者・鶴田昌博さん

 現在のグラブとそのメンテナンス用品の開発担当をになったのは、今から2年前です。正直なところ、すごく大変なアイテムの担当になったなという感じでした。

 というのも、その当時の一番の課題だったのが、各メンテナンスグッズの容器やデザインに一貫性が無く、簡単に言うとツギハギだらけの商品構成になっていたことでした。
 一つ一つを取っていけば素晴らしい商品なのですが、メンテナンスグッズとして一貫性がなかったがために、商品が店頭に並んでいても視覚的に統一感もなかったしバラバラだったのです。

 そこをなんとかして欲しいと、当社のマーケットからも常々言われていました。一貫性と統一感を発揮することをまず最初に思い、改善を試みていきましたね。

手順の整理に着手!より分かりやすい商品手順に!

「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」での正しいグラブのお手入れ方法 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【後編】 | 高校野球ドットコム
保革油(左下)、ムースタイプの保革油(左奥)、ワックス(右手前)、ウェットクロスタイプの汚れ落とし(右奥)

 そうした中で、私がまず行ったのは、それぞれのお手入れの用途と手順を整理していったことです。手順を明確にして、それぞれに必要な商品はこれだというのを整理したということですね。

①「汚れ落とし」で泥を落とす
②革に潤いを与える「保革」を行う
③「ワックス&ツヤ出し」で仕上げる
④プラスアルファとして「硬化剤」を使う

 また、「プロステイタスシリーズ」と「革、命。シリーズ」の二つのシリーズに分けたのも理由があります。
 初めて道具のお手入れをする小学生や、時間があまりない草野球の方にも、使いやすくて購入しやすい価格帯を意識したのが、「革、命。シリーズ」です。
 汚れ落としに使い捨てシートを用いるなど、とにかくシンプルで手軽にメンテナンスを行えることを心掛けました。

 また「革、命。シリーズ」で最も特徴的なのが、ウェットクロスタイプの「汚れ落とし」と「保革油」です。ワンタッチで誰でも簡単にお手入れできます。

 反対に、もっときめ細かくグラブを大切にしていきたいユーザーに向けたのが「プロステイタスシリーズ」です。保革油も固形、ムース、スプレーと3種類あり、様々なニーズに合わせたメンテナンスが可能になりました。

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[page_break:正しいグラブのお手入れを方法を紹介]

正しいグラブのお手入れを方法を紹介

「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」での正しいグラブのお手入れ方法 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【後編】 | 高校野球ドットコム
保革油(左下)、ムースタイプの保革油(左奥)、ワックス(右手前)、ウェットクロスタイプの汚れ落とし(右奥)

 ここからは具体的に、正しいグラブのお手入れを方法を紹介していきたいと思います。これまで何となくお手入れをしていた選手は、是非参考にして欲しいと思います。

①汚れ落とし
 まずグラブには、砂や土などの汚れがついてると思います。先にタオルや柔らかめのブラシで、大きな付着物は事前に落としておきましょう。
 また実際に磨いていく際は、グラブをはめた状態で磨くことをお勧めします。靴を磨くときに、シューズキーパーを入れた状態で磨くのと同じだと思ってもらえるといいです。

 ウェットクロスは、1枚でも一個のグラブを十分に磨けるほどの性能がありますし、もちろんグラブの内面にも使えます。
 気を付けたいポイントとしては、グラブは紐の周囲に汚れが溜まりやすいので、広い面はサッと拭いていただいて、紐の周囲を中心に丁寧に拭き取ってもらった方がいいですね。

②保革油
 汚れを落とし終わったら、次は保革油です。保革油は、革に潤いを与えて、乾燥させないために塗ります。

 ポイントはいきなりたくさんの量を塗っていくのではなく、少量を何回も塗っていくことです。また塗り方は縦に塗ったり、円を描くように塗っていくことで、満遍なくしっかりと浸透させることが出来ます。どこが傷みやすいのか確認して、痛みやすいところを重点的に塗っていきましょう。

 ここでも大事なのは、紐周りをしっかりと塗っていくことです。より細かいところはムースタイプを使うことをお勧めします。
 また、スポンジだと固い部分を磨いた際にスポンジが傷んでしまうことがあります。タオルに指を巻いて塗ることで、細かいところもしっかりと塗ることが出来ます。

③仕上げのワックス
 一通り保革油が満遍なく浸透したら、最後の仕上げでワックスを塗っていきます。保革油を塗ったら数分置いて、革に馴染んできたらワックスを塗っていきます。
 ZETTのワックスにはツヤを出す効果もありますが、もう一つ滑り止めの効果もあります。見た目だけではなく、パフォーマンスにも好影響を及ぼすのがZETTのワックスの特徴です。

 ワックスは、どちらかというと捕球面側をしっかり塗っていくと良いでしょう。 「ヌルっ」となっていたら塗りすぎの証拠です。その場合は、全体的に塗り広げていき、「キュッキュ」という音がなるくらいにしましょう。

 以上が、グラブのお手入れの主な流れになります。
 今回はグラブのメンテナンスということで、お話をさせて頂きました。硬式グラブを使う高校生の多くの場合は、最初は硬くて扱いづらく感じると思います。それがだんだん馴染んできて、良い状態(使いやすい型・硬さ)を保つためにはやはりグラブのお手入れは不可欠です。

 どう手入れをするかによって、プレイの結果も変わる場合もあると思うので、是非道具は大切に使って欲しいなと思います。

鶴田さん、今回はありがとうございました!またZETTから素晴らしい製品が出ることを楽しみにしています!

文=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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